19580711-03

I’m A Dreamer Aren’t We All
(DeSylva – Brown – Henderson)
(7分2秒)



【この曲、この演奏】
 ジャズ・ミュージシャンが取り上げることが少ない曲で、資料14に掲載されていない曲です。ネット情報によれば、1929年のミュージカル「サニー・サイド・アップ」で使われた曲のことです。
恐らくはガーランドが“メモ帳”から引っ張り出した曲で、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。

 明るく楽しい曲を、明るく楽しく演奏しています。先陣をきるハーデンのトランペットも頑張っていますし、続くコルトレーンもサラッとシーツ・オブ・サウンドで決めています。そしてガーランドの繰り出すフレーズに笑顔になって、7分間を楽しめる内容です。




【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その10】
(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)

AB 最初にモンクとやった時はどうだった? その、ファイヴ・スポット(訳注=ニューヨークの有名ジャズ・クラブ)で実際に演奏する前の話だけど、モンクはリハーサルをやったのかい? 君が全ての曲を覚えられるように?

JC ああ、やったよ。

AB リハーサルはどんな感じだった? 興味があるんだ。モンクがどうやって曲や、コード進行を君に馴染ませていったのかなって。

JC まあ、こんな感じだ。私が彼のアパートメントに行って、彼をベッドから叩き起こす。まあ、いつも寝ているわけはないが(笑)。で、ベッドから起きた彼がピアノを弾き始める。曲は特に決まっていない。だいたいは自分の曲をプレイし始めて、私の方を見る。彼が私の方を見たら、自分のサックスを取り出して、彼が弾いている音を探していく。私がそのパートをものにするまで、彼は延々ピアノを弾き続ける。最後にもう一度そのパートをプレイして、次のパートに移る。特に難しいパートでは、演奏をいったんやめて、どうプレイすべきなのか教えてくれる。それでも私がなかなか覚えられない場合には、紙挟みを取り出して楽譜を見せてくれる。彼は楽譜を持っていたんだ。すべて採譜してあった。私はそれを読んで覚える。ただ、モンクは楽譜を使わずに曲を覚えさせようとしていた。そのほうがより、曲のフィーリングをつかむことができるから。そのほうがずっと早くフィーリングをつかめる。一曲を丸ごと覚えてしまうほうがね。曲を心で覚えさせて、耳で覚える。とにかく、そうやって一つの曲をだいたい覚えたら、彼はどこかへ消えてしまう。私を曲と向き合わせるために。私は独りで曲を練習し、彼はスーパーなんかへ買い物にいく。あるいは寝直したりとか。とにかく、私はその場に残って、曲を完全にものにできるまで反復練習をする。それが終わったら、彼を呼んで通してプレイ。一日一曲しか覚えられないこともあったよ。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2010年 ペナン

(2020年2月9日掲載)