Lover Come Back To Me
(Romberg – Hammerstein)
(7分26秒)
【この曲、この演奏】
1928年のミュージカル「ザ・ニュー・ムーン」の挿入曲で、ポール・ホワイトマン楽団やルディ・バレーでヒットした曲です。スイング時代のミルドレッド・ベイリーやビリー・ホリデイといった歌唱が定番であり、モダン期に入ってからも、歌物、インスト物とも数多くの名演が残っています。(資料14 )
この曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。(資料06)
さて演奏ですが、ドナルド・バードが気持ちよくトランペットを吹いているのが、先ずは印象に残ります。バードはこの1958年の12月のブルーノートでの自身のレコーディング(BN4007)でこの曲を取り上げています。このバードに対してコルトレーンは何かを仕掛けるように、アグレッシブな演奏を行い、ガーランドもそれに続きます。私はこれはこれで楽しい演奏と感じますが、人によって評価は違うもの。
資料09ではこの演奏を、「バードは明るくテーマを吹きソロに入ろうとすると突如コルトレーンが全体の流れに逆らうような異質のフレーズを挿入する。(中略)(コルトレーンの)バードとの曲に対する解釈のズレの方が目立つ」としています。
一方で資料11では、「この日一番の熱演で、バード、コルトレーン、ガーランドが、このシンプルなアレンジのよく効いたスタンダード曲に食ってかかるのが見物」と書いてあります。
【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その8】
(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)
AB ベニー・ゴルソンは?
JC ベニー・ゴルソン。彼もそうだ。
AB クインシー・ジョーンズはどう?
JC クインシーもそう。ジジ・グライスも。それと今は軍に入っているテナー奏者のウエイン・ショーター。今後の活躍が見込まれる注目株だ。彼は天に二物を与えられている。プレイは見事だ。引き出しをたくさん持っていて、その上作曲もできる。
AB 最近のジョニー・ホッジスやレスター・ヤングをどう思う?
JC 昔と同じくらい好きだよ。
AB 今も昔も変わらない?
JC ああ。十五年前と同じくらい、今も好きだ。
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2020年2月5日掲載)