The Believer
(McCoy Tyner)
(13分48秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンとはフィラデルフィア仲間のマッコイ・タイナーが作った曲です。コルトレーンのこの曲の演奏記録は本セッションだけであり(資料06)、また作者自身も本セッションだけの演奏記録(資料08)です。
さてコルトレーンとマッコイの演奏記録上の接点は、1957年にコルトレーンがリーダーとしてのフィラデルフィアでのライブがありますが、それ以降ですと1960年のコルトレーン・バンドでまで待つことになります。
資料09に気になる記述があります。この次の本セッション3曲目はカルヴィン・マッセイ作の曲ですが、「1956年頃、コルトレーンとマッコイはカルビン・マッセイのバンドに在籍していたことを考えると興味深い」との記述です。勿論、コルトレーンとマッセイは1940年代後半に出会い、生涯の友となっていきますし、資料06によれば1947年には2回の共演記録があります。またこの3人はフィラデルフィア仲間です。しかしながら、資料06を含めて他の資料をみても、資料09にあるような、「コルトレーンとマッコイがマッセイのバンドに在籍」を裏付けるものが見当たりません。
疑問点の詮索はここまでとしてこの演奏ですが、このブルース・ワルツを快適に晴れやかにコルトレーンは吹いています。ガーランドのソロはご愛嬌として受け取り、どのような拍子であれコルトレーンは威風のある演奏に感心します。
【エピソード、ネイマとの出会い】
コルトレーンはネイマと1955年10月3日に結婚します、資料01に二人の出会いについてのネイマの話が載っています。
私とジョン・コルトレーンの出会いは1954年6月、スティーヴ・デイヴィスの家でした。ジョンはとてもいい人ですが、ちょっと田舎臭いところがあるように思えました。彼はアンダーシャツ無しで袖の短いシャツを着ていました。靴下ははいていませんでした。スティーヴの奥さんが彼をからかっていました。「アンダーシャツと靴下を一体どこに脱ぎ忘れてきたの」私は彼を紹介された時、名前がとても奇妙に思えたので思わずこういったのを覚えています。「コルトレーン? 珍しい名前ね、綴りはどう書くの?」
ナイーマ・コルトレーン
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム
(2019年11月10日掲載)