I Got It Bad (And That Ain’t Good)
(Ellington – Webster)
(6分16秒)
【この曲、この演奏】
この曲はエリントンの数あるバラッドの中でも、筆頭格にあるものでしょう。1941年のミュージカル「ジャンプ・フォー・ジョイ」の中の1曲で、ステージではエリントン楽団をバックにアイビー・アンダーソンが歌っておりました。(資料14)
エラやシナトラの歌唱でも有名ですが、モンクのエリントン集を思い浮かべる方も多いことでしょう。
この曲のコルトレーンの演奏記録は本セッションだけ(資料06)ですが、ガーランドはこの後も度々この曲を演奏しており、1980年にはルー・ドナルドソンとの厚生年金会館でのライブでこの曲を披露しており、正規ライブ盤として世に出ました。
さて演奏ですが、美しいバラッドを美しい輝きのピアノで演奏するガーランドにうっとりするものです。この曲ではガーランドの引き立て役に回っているコルトレーンとバードですが、この曲の特徴を捉えた短いソロを聴かせています。
多くの人に愛されているガーランドの姿がある演奏でしょう。
【エピソード、1948年、失業】
トランペット奏者のハワード・マギーが「アポロ劇場」に表看板として出演することになり、ビッグバンドのメンバー探しにフィラデルフィアに来て、ヒース兄弟バンドの演奏に接し、すぐにコルトレーンとジミー・ヒースをアルト奏者として雇った。
「アポロ劇場」を打ち上げたマギー・バンドは、シカゴへ旅公演に出て、そして再びNYに戻った。その際にマギーがビッグバンドを解散し、セクステットに縮小して活動を続た。マギーは「ジミーの方がうまいプレイヤーだったからさ」と、コルトレーンを雇い続けなかった。
コルトレーンは失業となり、フィラデルフィアで臨時雇いの仕事をすることとした。しかしのその演奏場所はボーリング場よりも騒がしいバーであり、じっと耐えての演奏だった。ここでの演奏はミュージシャンとしてではなく、ただ食い扶持を稼ぐためのことだった。(資料01)
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2019年10月4日掲載)