Things Ain’t What They Used To Be
(Ellington – Persons)
(8分27秒)
【この曲、この演奏】
エリントン楽団でお馴染みのこの曲は、「昔は良かったね」との邦題で知られているブルース・ナンバーです。コルトレーンの演奏記録は、このセッションだけです。(資料06)
さて演奏ですが、ゆったり流れていくブルース曲に、ウェスのフルートが絶妙な味付けをしています。テナーはそれに続いて曲の持ち味を活かしながらの演奏です。
このセッション全体を通してのことですが、ウェスのフルートとテナーの対比を上手く使ったマルのアレンジが冴える演奏でした。その意味では最後に演奏されたこの曲に、このセッションの持ち味が集約されていると言えるでしょう。
【エピソード、パーカーとの再会】
1947年後半にコルトレーンはキャリフォルニアでパーカーと再会した。パーカーは神経衰弱で休養していたキャマリロから出てきたばかりであった。ベース奏者のレッド・カレンダーの家はLA郊外にあり、パーカーはよくこの家に立ち寄っていた。ピアノ奏者のエロール・ガーナーがカレンダーの家に滞在していた時期であり、パーカーは二人の演奏に時々加わっていた。そんな話を聞いたコルトレーンはヒッチハイクをしてカレンダーの家に行った。
コルトレーンがガーランド宅を訪れた時、ドラム奏者のハロルド・ウェストもカレンダー宅におり、四人はコルトレーンが一度も聴いたこのない、深遠で美しいブルースを演奏していた。パーカーの演奏に奇妙な悲しさを感じながら聴いていたコルトレーンにパーカーは気付き、「俺は疲れた、ぼちぼち交代してもらおうか、君、頼むよ」と言った。
コルトレーンはメロディの美しさとハーモニーを大切にした演奏をした。その演奏が終わるとパーカーはコルトレーンに「俺の演奏が聴きたいのだろう、そうだな」と言い、コルトレーンは頷いた。この曲が「リラクシン・ウィズ・キャマリロ」であった。(資料01)
このエピソードについては、資料06に上記と少し違う記述がある。
「リラクシン・ウィズ・キャマリロ」、或いは「リラクシン・アット・カマリロ」と呼ばれるこの曲をコルトレーンがパーカー達とカレンダーの家で演奏したのは、1947年2月19日となっている。また「ダイアルでのダーク・シャドウズの録音をい終えたパーカーは、コルトレーンと共にカレンダーの家に行き、リラクシン・アット・カマリロなどを演奏した」となっている。
なおコルトレーンの「リラクシン・アット・カマリロ」の演奏記録は、資料06ではこのカレンダーの家での演奏だけである。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2019年9月30日掲載)