19570920-03

Wheelin’
(Mal Waldron)
(10分27秒)

【この曲、この演奏】
 続いてもマル作のブルースで、演奏記録も同様にコルトレーンは本セッションだけ、作者のマルは1959年と1961年に演奏記録があります。(資料06, 08)

 さらにはこの曲でも別テイクを録音しています。

 軽量コルトレーンがソロの先発、それにクィニシェットとウェスが続いて行きます。テナー三人衆の軽快な掛け合いが、徐々に熱気を帯びていく光景はまさにこの手のセッションの醍醐味と言えるでしょう。そしてそれを狙っていたのがマルであり、彼のピアノも聴き所です。




【エピソード、虫歯のコルトレーン】
 コルトレーンは常に歯痛に悩まされていた。資料01には歯痛に関する記述が5回もあるのだ。

 クリーンヘッドのバンドにいた1947年にスィート・ポテト・パイを大食いした時も、その喜びに合わせるように歯痛に襲われていた。
 コルトレーンは歯の根が弱く、しかも甘いモノ好きのため、彼の歯は虫歯だらけであった。ひどい時は息を吸うだけですごい痛みが走るほどだが、コルトレーンは歯医者嫌いでもあったのだ。意を決して歯医者に行っても歯を削るドリルをみただけで脅えてしまい、三人の助手がコルトレーンを椅子に押さえつけるほどであった。

 これほど歯が悪い人間がリード楽器を演奏した場合、その楽器から出てくる振動音が引き起こす苦痛は、信じられないほどのものであっただろう。(資料01)

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2009年 みなとみらい

(2019年9月27日掲載)