19570531-02
While My Lady Sleeps
(Kahn – Kaper)
(4分43秒)
【この曲、この演奏】
「コルトレーンがしばしば引用していた曲であるが、ここでやっとその全曲が聴けることになった」と資料11にあります。コルトレーンが惚れている曲なのでしょうけど、演奏記録としては、このセッションだけです。ブラニスラウ・ケイパー作のこの曲は資料14には掲載されておらず、有名曲ということではないようです。
静穏な雰囲気のバラッドを、コルトレーンは曲をしっかりと噛み締めながら、愛を感じる演奏をしています。ここでのテナーの艶っぽさは、言いようのない素敵なものです。コルトレーンの愛想曲というのが、よく分かる演奏です。
ここでの演奏ではバリトンのシハブは抜けており、トランペットのスプローンも最後にチラッと音を出す程度なので、実質ワン・ホーンと言える演奏です。
さて資料11ではこの演奏でのコルトレーンの演奏技術面について、次のように解説しています。
「彼はセロニアス・モンクから一時に2、3音を出す方法(マルチフォニックス)を教えてもらったと語っているが、この演奏の最後のコードにレコード上初めてのこのテクニックがお目見えする」
貪欲に練習するコルトレーンの技術の向上を示している解説ですが、肝要なのはそれが表現力として使われているところでしょう。
【エピソード、各資料からこのセッション】
資料09には次のように書かれています。
「マイルス・コンボに参加することにより、身をもって当時進行中の新しいジャズのムーヴメント、即ちハードバップを体験したコルトレーンが、いよいよ自己名義のリーダー・セッションを持つことができた。マイルスの下で共演したレッド・ガーランドの参加もこのセッションを実りの大きいものにしている。初リーダー作にして既にコルトレーン・ミュージックの様々な可能性の萌芽が見られる。若々しきに満ちた好演」
【ついでにフォト】
2007年 みなとみらい
(2019年7月5日掲載)