19570419-03

Don’t Explain
(Holiday – Herzog)
(6分58秒)



【この曲、この演奏】
 ビリー・ホリデイの十八番として有名な曲で、ヘレン・メリルやニーナ・シモンの歌、そしてウィントン・ケリーのピアノでも素敵なものが残っています。資料14ではビリー・ホリデイの作詞作曲と書かれていますが、多くの資料で確認できる通り作詞はビリー・ホリデイ、作曲はアーサー・ハーツォグによるものです。

 このスタンダード曲をコルトレーンが演奏しているのは、本セッションだけです。(資料06)

 さて演奏ですが、マクリーンの元気の無い汽笛のような演奏が各所に配置され、独特のアレンジになっています。ビリー・ホリデイの伴奏者を務めたマルにとっては思い深い曲でしょうから、このアレンジは彼なりの意味があるものでしょう。全体的にはハードマンのトランペットの存在が、この演奏全体を印象深いものにしています。そして何度か繰り返して聴くと、マクリーンの元気の無い汽笛は、程よい味付けと感じるようになりました。

 資料09に「1曲の演奏としては統一感に少々の問題」と書かれていますが、「記憶に残るDon’t Explain」も良いものですよ。




【エピソード、高校時代のアルト演奏】
 コルトレーンはアルト・サックスを何回か家で練習した後に、ヘイグッドから借りているアルト・サックスを持って、高校バンドの練習場に行き、それを誇らしげに吹いてみせた。自分がクラリネットの他にサキソフォンも吹けるようになったことをヨクレイ先生にわかってもらおうとした。彼女はその演奏を認め、ポピュラー・ソングを独奏してみるようにコルトレーンに言った。そこで彼は普通のサキソフォン・ソロとは違って32小説からなる曲全体を息もつかずに演奏した。ホッジスの影響を受けたフレージングで彼が「タキシード・ジャンクション」を演奏し終わると、一せいに拍手が沸き起こった。

 こうしてコルトレーンは、バンド随一のミュージシャンとしての名を高めることになった。生徒たちは学校の中でコルトレーンの姿を見つけると、きまって音楽についてアドバイスしてくれとせがんだ。大人たちも街中で彼に声をかけて、その腕前を褒めることがあった。女の子たちは彼の姿をみかけるとたちまちそのまわりに押しよせ、魅力的に笑いながらサインを求めた。(資料01)

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2005年 香港

(2019年6月3日掲載)