19570419-02

J.M.’s Dream Doll
(Mal Waldron)
(8分40秒)



【この曲、この演奏】
 資料09によれば、この曲はマルがマクリーン夫人に捧げた曲とあります。マル、マクリーン、そしてマクリーン夫人の関係は分かりませんが、曲を捧げる何かがあったのでしょう。

 夜霧の危険な気配を感じさせるスローな演奏は、コルトレーンもソロをとっていますが、マクリーンの独断場と言えるものです。山出しの演奏とも感じるところがあるマクリーンですが、哀惜の情を切々と語っている演奏と聴き入りました。資料11がこのセッションに冷たいコメントを出しているのは、この辺りの感じ方からなのでしょうか。

 コルトレーンはこの曲をこのセッションで演奏しただけですが、マルは後年になって数度この曲を演奏しています。その一つがマクリーンを加えての、東京でのスタジオ録音です。残念ながら私はそれを聴いたことがなく、またネットショップを幾つか調べても在庫なしでした。いつか聴ける日が来るのを願っています。




【エピソード、高校時代の演奏】
 グレース・ヨクレイという夫人がハイ・ポイント地区で音楽を教えるようになり、高校の最上級生となったコルトレーンも彼女のお世話になった。

 高校時代のバンドにはコルトレーンと同じくスティール牧師に指導を受けた生徒も多くいて、また高校でも精力的に練習をしており、初見で演奏できるほどであった。

 クラリネットを吹いていたコルトレーンは、アルト・サックスに興味を持つようになっていた。しかし、コルトレーンにはそれを買うお金がなかった。クラリネットすら学校のもので、個人の所有物ではなかった。

 ペリー通りでレストランを経営していたヘイグッドは、アルト・サックスを持っていた。ヘイグッドが厨房の隅でアルトで音階練習しているのをコルトレーンは何度か聴いて、その生の音にますます魅せられた。コルトレーンはヘイグッドに頼み込み、時々そのアルト・サックスを借りて家で練習したのだった。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2005年 香港

(2019年6月2日掲載)