19560605-15

Tadd’s Delight (take 7)
(Tadd Dameron)
(4分17秒)



【この曲、この演奏】
 タッド・ダメロン作のこの曲の、7回目の演奏です。本テイクとなる4番目の演奏の後に3回演奏した後に、このテイク7が演奏されました。

 さて演奏ですが、構成はテイク4と同じです。その中で最初のソロとなるマイルスは、テイク4とは趣を変えようとの考えで演奏に臨んでるようです。あくまで比較でいえばですが、ここでのマイルスのソロはテイク4よりも落ち着きがないものと、私には感じました。続くコルトレーンとガーランドのソロにもマイルスの意気は伝わっていますが、さらに良いものになったとは言えない演奏内容です。特にコルトレーンもソロには、指が思うように動かないのかなと感じる場面もありました。

 本テイクと比較しての私の感想なので、辛口になりましたが、このテイクがあったからこそテイク4の出来の良さが確認できたのだと思います。

 この演奏は2000年になって世に出ました。




【エピソード、この時期のコルトレーンについて】
 一九五五年の録音でのコルトレーンのソロは、テンポについていくのが精一杯で、タンキングもややもたつき気味で、とてもソロの構成など考える余裕のない演奏をしている。しかし、一九五八年の録音では一九五五年のテンポより早くなっているのに拘らず、まさに自信満々にシーツ・オブ・サウンドのソロを一気呵成に吹きまくり、それに触発され、キャノンボールも疾風怒濤のソロを聞かせている。

 このわずか三年弱の間にテナー奏者としてのコルトレーンの成長ぶりには、本人の努力もあったが、やはりマイルスの影響を抜きにしては語れない。
(資料10より阿部等氏の文章)

この1956年の演奏は、まさにその成長の過程と言えるのであろう。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2010年 ペナン、マレーシア

(2021年12月22日掲載)