Chance It (aka Max Is Making Wax)
(Oscar Pettiford)
(4分29秒)
【この曲、この演奏】
オスカー・ペティフォード作とのこの曲ですが、「Chance It」との曲名とともに、「Max Is Making Wax」との曲名でも知られている曲です。
コルトレーンの演奏記録では、このライブを含めて、この時期にマイルス・バンドでのライブで数回演奏しただけです。そのライブの中で、1955年11月18日のTVショウでの演奏は、2006年に公式発売となっています。
マイルスの他の演奏記録ですが、資料08によれば1952年にスタジ録音しており、ブルー・ノートから発売されています。(当然ながらコルトレーンは参加していない)
まずは最初にコンサート主催者のジーン・ノーマンの、よく響く低音の早口アナスウンス(1分33秒)があります。客席の笑いを誘いながら、「マイルス・デイヴィス・アンド・クインテット」との彼の紹介でこの曲の演奏に入っていきます。
さて演奏ですが、陽気に明るいビバップ曲のテーマをマイルスとコルトレーンが、曲調通りに演奏していきます。そしてソロですが、マイルス – コルトレーン – マイルスとなります。ダンスに例えるならば、軽やかにステップを決めていくマイルス、それを真似していこう頑張っているコルトレーンといった感じです。この時期のコルトレーンにしては随分と軽快だなと感じますが、ダンスホールにいる女性は全員がマイルスになびくことでしょう。
【エピソード、このライブ録音の発売】
私が香港に駐在していた2005年、或いは2006年に入ってからのことだが、尖沙咀のHMVで「 ‘Round About Midnight – Legacy Edition」との題名のCD2枚組を目にし、当然のことながら購入した。名盤「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の別テイクがメインのものと思ったのだが、その意味では納得がいかないものだった。
しかしながら驚愕した。このCD2枚組の”売り物”は、1956年2月18日のマイルス・バンドのライブ演奏が収録されていることだった。
まず、この日に行われたコンサートについてだが、1983年発刊の資料09にも、1995年発刊の資料06にも記載がない。そしてこの2枚組CDが発売された後の2008年発刊の資料07に、ようやく記載された。あくまで私が目にした資料の範囲であるが、この1956年2月18日のライブ演奏は、このCD2枚組の2005年の発売で初めて知られる存在になったのだ。
【ついでにフォト】
2004年 香港 維多利亞港
(2021年11月25日掲載、改訂2022年12月30日)