19551026-06

Two Bass Hit (master)
(J. Lewis – D. Gillespie)
(3分40秒)



【この曲、この演奏】
 最初のテイクに続き、このビバップの有名曲を4回演奏しました。そして1979年にアルバム「Circle in the Round」に収録されて世に出た際には、全5つのテイクから3つのテイクをつなぎ合わせておりました。テイク2の頭から2分18秒、テイク5から13秒、テイク1から34秒、そしてテイク5から36秒が編集されてマスター・テイクとなったのです。(資料07)

 さてそのマスター・テイクですが、テイク1との比較で言えば、洗練された演奏と言えます。冒頭部のトランペットとテナー・サックスでのアンサンブルは色合いが豊かになっており、コルトレーンのソロはリズムに陽気に乗っている感じがあります。そして終盤のリズム陣の演奏も一体感が出ています。

 この演奏はアルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」には収録されずに、24年間の長きに渡りお蔵入りとなっていました。私はこのマスター・テイク編集作業がどの時点で行われたのか、つまりアルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」制作過程で編集が行われたがボツになったのか、1979年の未発表集を発売するにあたって編集したのかを知りたく各資料にあたりましたが、答えはありませんでした。




【エピソード、本セッションの発売】
 私が知り得ている範囲ですが、今現在、このセッションの音源を全てを聴くには、3種類のCDを入手する必要がある。

Columbia C 6 K 65833 「Miles Davis & John Coltrane / The Complete Columbia Recordings 1955-1961」
 2000年にCD6枚組で発売されたこのCDセットは、タイトルの通りに、コルトレーンがコロンビアでの、マイルス・バンドでの演奏である。スタジオとライブを合わせたコロンビア・レーベルの公式収録を”全て”収録したものだ。しかしながら世の中の「コンプリート物」と同様に、あくまでこの時点での”全て”を収録した物だった。

Columbia/Legacy COL 519957 2 「 ‘Round About Midnight – Legacy Edition」
 2005年に発売されたこのCD2枚組だが、タイトル通りならばこのセッションを含む「 ‘Round About Midnight」3セッションの全てが収録されているものとなる。しかしながらそうとはなっておらず、先の2000年CD6枚組にありながらこのCD2枚組に収録されていないテイクが3つある。そうなるとこのCD2枚組の存在価値はないとなってしまう。これがアルバム「 ‘Round About Midnight」を念頭にすれば、その通りである。しかしこのCD2枚組には大きな存在価値がある。コルトレーン入りのマイルス・バンドが1956年2月18日に行ったライブ演奏が収録されているのだ。

Kind of Blue (j) KOB 004 「The Making of “Round About Midnight”」
 私は入手しなかったCDである。資料07によれば、フォルス・スタートやブレイクダウンのテイクを中心に、このCDでしか聴けない音源がいくつかあるようだ。しかしながら先のCD6枚組に含まれていながら、このCDに含まれていないテイクもある。

収録アルバム

【ついでにフォト】

2008年 みなとみらい、横浜

(2021年11月18日掲載)