All Blues
(Miles Davis)
(15分14秒)
【この曲、この演奏】
2日前のストックホルム公演セカンド・ステージで取り上げられたこの「マイルス作のモーダルな6拍子ブルース(資料09)」が、このコペンハーゲンでも演奏されました。
資料07によれば、演奏前に「Flamenco Sketches」とアナウンスされたそうです。
何かが起きる予感のアレンジでのテーマ演奏が始まり、マイルスがミュート・トランペットで安らぎと不安が交差する1分50秒を描いています。そのままマイルスの3分半のソロとなりますが、ここではオープン・トランペットで演奏しています。ただ消音器を外すだけなのですが、聴いているだけですと、歌舞伎の早替わりのようなドラマチックなものに感じます。
その後のコルトレーン5分弱のソロは、それまでの流れをさらに奥深くするものであり、またコルトレーンらしさが散りばめられたものです。
ミステリアスな香り漂うケリーの3分のソロが続き、再びマルスはミュートでテーマを演奏し、終わっていきます。
これに続いて「The Theme」が短く演奏され(収録は12秒)、コペンハーゲンのステージは終わります。
【エピソード、ブノワ・ケルサンによるインタビュー その5】
ケルサン
その第一歩が「ジャイアント・ステップス」だったのではないでしょうか。あれはあなた独自の音楽へ向けた、最初の大きな一歩だった。
コルトレーン
あのアルバムについて言うと・・・あのアルバムでは、制作前の五、六ヶ月間に私が考えていたことを形にしてみたんだ。つまり、和声構造について取り組んでみたんだが、完璧に開拓して理解できたわけでがない。実のところ「ジャイアント・ステップス」は非常に多くの点で、何と言うか、実験的だ。それとあのアルバム・・・「ジャイアント・ステップス」の中で私が試したとのいくつか、曲全体の基となったアイディアは、それだけを取り出して他の曲に使ってみるだけでもよかったんだと思う。ほんの数小節だけ試してみて、それで終わりにするとかね。ただ、あの頃の私は一つのアイディアに執着していて、他のことは考えられなかった。拡張コードをプレイする最初の一歩だったから。私はそれに挑戦して、ああいった曲がアルバムに吹き込まれるに至ったわけだ。何曲かは、非常に独特な構造を持っている。あの手のアイディアを盛り込んだアルバムは、あれが最初だった。あれ以降もやってがいるが、それほど前面に出していない。一つのアイディアを曲全体ではなく、その一部に用いるやり方を学んだからね。 (資料04より、時期は1961年の夏か秋だろうとのこと)
【ついでにフォト】
2006年 香港
(2023年6月12日掲載)