All Blues
(Miles Davis)
(16分8秒)
【この曲、この演奏】
「マイルス作のモーダルな6拍子ブルース(資料09)」のこの曲は、1959年4月22日のアルバム「カインド・オブ・ブルー」のセッションで演奏され、それから1960年代半ばまでマイルスのライブ演奏定番曲となりました。もちろん、この1960年春の欧州ツアーでも取り上げています。
ベースから始まり、シンバルが入ってピアノが加わって、そこにマイルスのミュート・トランペットでテーマ演奏となり、会場が神秘的な怪しさに包まれていくのが分かる2分弱です。
ソロはマイルスがオープンで3分強、コルトレーンが5分半、ケリーが4分弱の演奏を繰り広げます。この曲が会場を包み込む中で、3人がそれぞれの登場人物を描いていく姿は、心が動くものです。コルトレーンのソロは、彼が幅を広げ続けていることが分かるものです。
演奏は再びテーマとなり、冒頭よりも激しい演奏で終わっていきます。
真央この後に1分弱の「The Theme」が演奏され、このセカンド・コンサートが、そして1960年春の欧州ツアー二日目のストックホルムが終わりとなります。
【エピソード、ブノワ・ケルサンによるインタビュー その3】
ケルサン
その、音楽というものは・・・
コルトレーン
以前より少しだけ巨大になった。例えば一九五五年頃と比べて、今はプレイにおけるチャレンジの幅が広がったと思う。そして今のミュージシャンがやっていることは・・・一九五五年だったら、こんなふうに言われるはずだ。「どうだろう、ちょっと大胆すぎやしないか?」ってね。だが、今は、ジャズ・ミュージシャンが何をやろうと、大胆すぎると思われることはない。
ケルサン
ということは、語法が広がったということですね。語彙を増やそうとしてきたと?
コルトレーン
何だって?
ケルサン
語彙を増やそうとして、それから・・・
コルトレーン
ああ、語彙ね。
ケルサン
・・・広がった。
コルトレーン
そうだ。
(資料04より、時期は1961年の夏か秋だろうとのこと)
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年5月30日掲載)