All of You
(Cole Porter)
(10分58秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンが参加したマイルス・クインテット演奏ではお馴染みのこの有名スタンダード、一週間前のピーコック・アレイのラジオ放送でも演奏していたこの曲を、マイルスはこの2月23日も取り上げました。
この曲の前に、ピアノ・トリオでの「Billy Boy」を軽快に4分5秒の演奏があります。
そして「All of You」ですが、マイルスのミュート・トランペットの深みある音色でテーマが奏でられ、アドリブを交えての演奏となり、3分弱の素晴らしい演奏となっています。
これに続いてはコルトレーンのソロとなり、これまた素晴らしい3分弱の演奏であり、音の探求に心が持っていかれます。
そして同様に3分弱のガーランドのソロへと進むのですが、マイルスとコルトレーンの快演を引き継いでの、光るアピの演奏です。
再度マイルスが登場して、テーマへとなっていき、演奏は終わります。
コルトレーンが両方のテーマ演奏に加わっていない理由はわかりませんが、何とも素敵なマイルス・クインテットでの「All of You」でした。
【エピソード、ダウンビート誌1958年10月16日号 その10】
この三年間に自身が成し遂げた進化については満足しながら、コルトレーンは自身のプレイには厳しい目を向け続ける。ただ、こうした自己批判の中心にあるのはもはや落胆ではない。自分の進化に気づいた今、彼はさらなる進化を追い求める。
「トーンや音の表情のつけ方に関しては、まだまだ発展の余地はある」とコルトレーン。
「もっと基本的なテクニックを勉強して、ハーモニーを磨き上げたい。演奏中に二つのアイディアが浮かぶことがあるんだが、一つを試すのではなく、二つ同時にやろうとすると、どうも連続性が失われてしまう」
ダウンビート誌、一九五八年十月十六日号、16-17ページより(資料04)
【ついでにフォト】
2005年 香港 (2023年4月25日掲載)