Impressions
(John Coltrane)
(35分18秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンのライブ演奏定番曲が、8月のショウボートで演奏されました。
コルトレーンがソプラノサックスで少し焦りがあるかのようにテーマを吹き、すぐにマッコイの10分近いソロとなります。これはリズム陣によるトリオ演奏というべきもので、高速道路を突っ走る爽快感とスリルに満ちたものです。
続いてはコルトレーンがテナーに持ち替えて、最後まで25分間吹き続けます。始まりは絶好調のトリオ演奏に加わるように始まり、ピアノがオフになった4分を過ぎてからコルトレーンのソロの世界となります。6分40秒辺りから凄みがまし、10分辺りからはエルヴィンとの一騎打ちの様相になっていきます。そして15分からより一層に深い世界へ突入し、それが10分続き、最後にピアノが入ってテーマとなって、演奏が終わっていきます。
この日はこの「Impressions」、そして「Mr. P.C.」といったように、黄金カルテットでのライブでの凄みが爆発していました。
【エピソード、ノルウェーのジャーナリスト、ランディ・ハルティンの著書から その3】
JC
音楽は一足飛びには理解できない。自分の方から、少しづつ音楽に近づいていかないと。両手を広げてすべてを受け止めるようにはいかないんだよ。
RH
インド音楽に触発されているとか?
JC
そう。ずっと前から、ラヴィ・シャンカルに関心があってね。いつか会ってみたい人物だな。それとハープ奏者のカルロス・サルゼードも敬愛している。スペイン音楽の演奏者だが、世界に通用するミュージシャンだ。弦楽器が好きなんだ。ただ、私はサックスで食っている」
RH
もっとも敬愛するサックス奏者は?
JC
まず、ジョニー・ホッジス。ただレスター・ヤングも常に私の心の大きな部分を占めてきたミュージシャンだ。あとはデクスター・ゴードン。コペンハーゲンを訪れたときに、彼に会いたいものだ。
RH
マイルス・デイヴィスと過ごした歳月はどうでしたか?
JC
マイルスとは五年一緒にやった。とても勉強になったよ。あのとき初めてスタイルを変えたんだ。グループを止めてからまた変えたけどね。
RH
ジャム・セッションはお好きですか?
JC
いや、できればやりたくない。
RH
野外コンサートは?
JC
晴れの日なら最高だよ。だだっ広い荒涼とした海岸なんかでサックスを吹いたら、いいアイデアが浮かんでくる。風のない日はホーンがよく鳴るし、何時間でも練習していられるね。私は静かな場所が好きなんだ、延々と続く田舎道のドライブに勝るものはない。ツアーが終わったら、いつも家まで車で帰るんだ。
ランディ・ハルティン著「Born Under The Sign Of Jazz(ジャズの星の下に生まれて)」(London: Sanctuary, 1998, 2000)’ 157-162ページより (資料04)
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年2月26日掲載)