Cousin Mary
(John Coltrane)
(9分48秒)
【この曲、この演奏】
1959年5月5日のアトランティックでのスタジオ録音で演奏された、いとこのメアリーに捧げたこの曲ですが、ライブでの演奏となると多くはありません。資料07によれば、あくまで明確な記録によれば、この曲がライブで演奏されたのは1960年から1963年までの各年1回だけ、合計4回であります。その中で最後の演奏記録となるのが、この1963年11月2日のベルリンでのものです。
先ずはソプラノ・サックスでコルトレーンが勢いよくテーマを演奏しますが、バンドとの意気が合っていないかなと感じるものです。すぐにピアノ・ソロとなり、4分半ほど演奏しています。前半は切れ味は良いが手探り感ある演奏ですが、後半になると聴き所が出てきます。
そしてコルトレーンが今度はテナー・サックスでソロをとり、最後まで4分半ほど演奏していきます。その演奏ですが、重量感はあるが空回りしているかなと感じるものです。テーマを半ば強引に引っ張り出して、演奏は終わっていきます。
【エピソード、1963年のミシェル・デロームのインタヴュー記事 その13】
デローム
(コンサート終了後)
あれほどエネルギッシュな演奏のあとで、少しも疲れていないんですか?
コルトレーン
気に入ってくれたかい? いい演奏だったと? 今夜はとても楽しかった。私のプレイにも表れていたと思う。それに素晴らしいオーディエンスだった。とても励みになったよ。いや、本当に最高の気分だね。疲れも吹き飛んだよ。大切なのは、コンサートの前に食事をしないことだ。演奏の足かせになる。このコンサート(11月1日のパリ公演)の中継を聴きたいね。ベストのものが出せたと思う。
「ジャズ・オット」誌、一九六三年一二月号(資料04より)
【ついでにフォト】
2015年 みなとみらい、横浜
(2022年12月12日掲載)