My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
（20分48秒）
【この曲、この演奏】
1963年11月2日のベルリン自由大学でのコンサート、コルトレーンはこの曲を中盤に演奏しました。
コルトレーンがいつものようにソプラノで音を出し、エルヴィンの切れ味の良いドラムスの後に、マッコイが20秒ほどの場づくりを行なって、コルトレーンがテーマを演奏し始めます。そのソプラノ・サックスの世界には、いつもよりも身が引き締まる思いがあります。徐々にこの日のこの曲へのコルトレーンの解釈を織り込み、4分を超えて吹いています。
続くのは7分強のピアノ・ソロ、と言うよりもトリオ演奏です。それは重機が懸命に走行しているかのものであります。それが3分あたりでのテーマ演奏の後には、ジープで駆け回るような軽快感あるエンスになっていきます。
その後にコルトレーンが9分弱の演奏となり、エンディングとなります。その前半ではバック陣は控え目の演奏であり、そこでコルトレーンは美の世界、または善き心とはとのコルトレーン自問があるように思いました。後半になるとバック陣も通常の音量での演奏となり、コルトレーンとの対比が楽しめる内容です。
【エピソード、1963年のミシェル・デロームのインタヴュー記事 その11】
コルトレーン
今夜は、いくつかの珍しいテーマを演奏する予定だ。といっても、まったく新しいテーマではないがね。いくつかプレイするのが好きなテーマがあるんだ。「アイーシャ」とか「サイーダズ・ソング・フルート」なんかはとても美しいテーマを持っているが、娘のためにもう1曲書きたいな。もっと可愛らしい曲を。私の最高傑作は「ナイーマ」だが、今回のコンサートでは演奏しない。
「ジャズ・オット」誌、一九六三年一二月号（資料04より）
このインタヴューは11月1日のパリ公演の、開始前のことである。資料07によれば確かに「ネイマ」は演奏されていない。しかし1963年欧州ツアーの他の日には演奏されており、このパリ公演で演奏しなかった理由を知りたいところだ。
【ついでにフォト】
2015年 みなとみらい、横浜
（2022年11月30日掲載）