Come Rain or Come Shine
(Johnny Mercer – Harold Arlen)
(7分25秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンはこの有名スタンダードを、本セッションから4ヶ月後の1958年1月10日に、プレスティッジでの自分のリーダー・セッションで録音しました。ドナルド・バード入りのクインテットでの演奏したが、プレスティッジから発売されたのは1966年1月、アルバム「ザ・ラスト・トレイン」に収録されてのことでした。
この1957年9月1日のソニー・クラークのブルー・ノートでの演奏は、1958年1月に発売されました。この時代を体験した方々にとってのコルトレーンの「Come Rain or Come Shine」といえば、アルバム「ソニーズ・クリブ」での演奏となります。また今のコルトレーン愛好家の多くが、彼の死後から聴き始めた人でしょう。そんな方々にとっても、アルバムの知名度の大きな違いから、コルトレーンの「Come Rain or Come Shine」といえばこのブルー・ノートでの演奏になることでしょう。
さて演奏ですが、雨の状況を描いたものであり、晴れ輝く素田の様子は浮かんでこないものです。雨が続く中での人の心模様を表現している雰囲気は、テーマを奏でるフラーのトロンボーンで印象付けられています。ゆっくりと腹に力を入れてのトロンボーンでのテーマの後には、クラークのピアノ・ソロとなります。フラーよりは軽く身構えながらも見事な表現力のクラークに、うっとりと聴き入ります。ソロはコルトレーンとバードに続き、そのままバードがテーマを吹いて演奏は終わっていきます。
ピアノと管楽器の4人でいえば、コルトレーンの出番が控えめですが、前後の流れを崩さすに、しかし自分の存在もしっかりと聴かせるコルトレーンも、なかなかのものと言えます。
【エピソード、コルトレーン語録 その8】
「今後はバンドのために曲を書くことに専念したい。まずはそれをやってみて、その音楽には別のホーンが必要だと思ったらそうすればいいし、いらないと思ったら今のカルテットのままでいく。今一番重要なのは、曲を書くことなんだ。(中略)何らかの音楽的成果が得られるなら、金はいくら遣ってもいいが、今のバンドでやっている音楽では別のホーンを入れる必要性は感じない。ただ、さっきも言ったが、数年後、私がバンドのために書いた曲のサウンドが別のホーンを求めているのであれば、あるいはもう一本ホーンがないとアイディアを表現できないというのであれば、私はそうする。それで何かを失うことになってもね」
ジョン・コルトレーン、一九六三年十月二六日、ミヒール・デロイテルとのインタヴューより(資料04)
なおこのインタヴューは下記のwebページで聞くことができるとのことだ。
http://mdr.jazzarchief.nl/interviews/coltrane
このインタヴューの1963年10月からの4年間のコルトレーンの活動を聴けば、ここでの発言のコルトレーンの意図が理解できる。
【ついでにフォト】
2011年 ペナン、マレーシア
(2022年2月16日掲載)