Monk’s Mood
(Thelonious Monk)
(本テイク 7分48秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンのモンクとの最初の演奏が、このモンクの代表曲です。コルトレーンの演奏記録としては、1957年11月19日に行われたカーネギー・ホールでのイヴェント出演でも演奏され、その音源は2005年に発売されました。(資料07)
ただし、この年の7月から12月に断続的に出演したファイヴ・スポットで、この曲が何度も演奏されていたことは、容易に想像できることでしょう。
この4月16日は、これはモンクの”ソロ”・ピアノでの作品である「Thelonious Himself」用の演奏であります。モンクがレコーディング過程でリヴァーサイドのプロデューサーであるオリン・キープニュースに、「この曲にはあと二人のプレイヤーをつけて欲しい」と要望したのでした。
-01 take 1(56秒)
モンクに迷いがあったのか気まぐれなのか、演奏が中断されました。
-02 take 2(7分48秒)
ソロ演奏でのモンク特有の緊張感と響き、その中で優しく語りかけるようにピアノを演奏していきます。2分37秒でベースが入り、2分46秒でコルトレーンのテナーが加わります。ここからの5分間の多くが、モンクとコルトレーンの語り合いのような演奏です。コルトレーンはモンクが示した演奏の方向性を感じ取っており、二人の心はピッタリと重なったかの演奏になっています。ベースのウィルバー・ウェアについては出番こそ少ないものの、絶妙なタイミングで二人の演奏に色を加えています。
資料18にあるオリン・キープニュースの感想を引用します。
「これは彼がこれまで録音したものとはどれとも似ておらず、しかもオリジナルのファイブ・スポット・カルテットを予見させるものであった」
【エピソード、本セッション】
1957年のコルトレーンの活動の大きな特徴は二つある。先ずはプレスティッジと契約して、自身のリーダー作品を含めて、このレーベルでより一層のレコーディング活動を行なったことである。二つ目は、モンクとの一連の活動であった。
モンクとのリヴァーサイドでのレコーディング(資料18)
1957年4月16日
1957年6月25日
1957年6月26日
1957年7月(多分)
モンクとのファイヴ・スポットへの出演(資料07)
1957年7月18日から8月(多分28日)
1957年9月5日から11月6日
1957年11月21日から12月26日
モンクとのカーネギー・ホールでのイヴェント出演
1957年11月19日
この4月16日のレコーディングは、1957年のモンクとコルトレーンの精力的な活動の最初のものだ。なお日付に関しては4月12日となっている文献も多いが、オリン・キープニュースの入念な調査結果が資料18にあり、そこでは4月16日としてある。
(その辺りのことは、この maharl.com でいつかは始める予定の「リヴァーサイドのモンク特集」で書いていく)
【ついでにフォト】
2005年 香港 赤柱国際龍舟錦標賽2005
(2022年1月17日掲載)