Budo (take 1)
(Bud Powell – Miles Davis)
(3分)
【この曲、この演奏】
パウエルとマイルスの共作とクレジットされているこの曲ですが、コルトレーンの演奏記録は資料07によれば本セッションだけです。マイルスの演奏記録は資料08によれば、1948年から翌年かけて3回ありますが、本セッションが最後の演奏のようです。
このセッションでは8回演奏し、その中で最後まで演奏されたようなのは3回あります。ここではその最初のテイクを取り上げます。
資料07によれば、このテイク1にはリハーサルやフォルス・スタートなども含まれているようですが、私が聴ける音源(Miles Davis & John Coltrane / The Complete Columbia Recordings 1955-1961)では、その後にしっかりと演奏された部分だけです。この曲は映画で急に話が展開していく場面に似合いそうなビバップで、マイルスのミュートが陽気に冴えている演奏です。テーマの後にマイルスのソロ、コルトレーンのソロ、そしてガーランドのソロと続き、後テーマとなっていきます。陽気な雰囲気中で一生懸命に陽気に振る舞おうとするコルトレーンの姿が、印象的でした。
このテイクは1988年に発売されました。
【エピソード、このセッションの契約書】
資料07には、マイルスとコロンビア・レコードの間で交わされた、本セッションの契約書が掲載されている。そこには興味ある日付が二つある。
先ずはこのセッションが行われた日付であるが、「Oct. 27, 1955」とある。このセッションの録音日は長らく1955年10月27日とされてきた。1983年発刊の資料09でも、1995年発刊の資料06でも、27日と記載されている。2000年発売のCD6枚組「Miles Davis & John Coltrane / The Complete Columbia Recordings 1955-1961」において、26日が正解であることがコロンビアから発表されたのである。従って2008年発刊の資料07では26日と記載されている。
二つ目の興味ある日付は、「Contract Digest」欄にある。「Prestige Contract exp. 2/7/57」とある。マイルスとプレスティッジとの契約は、1957年2月7日までとの内容だ。つまりマイルスはこの日以前には、プレスティッジ以外のレーベルからアルバムを発売できなかった。アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」は1957年3月4日に発売された。(資料07より)
【ついでにフォト】
2008年 みなとみらい、横浜
(2021年11月23日掲載)