Evolution
(John Coltrane)
(35分51秒)
【この曲、この演奏】
この曲名での演奏は、本セッションだけです。
1971年に発売されたLP2枚組では、C面とD面にまたがっての収録となりました。
コルトレーンのテナーとギャレットのバスクラ、そしてギャリソンのベースで演奏が始まりますが、それは恐怖映画のようです。2分半ほどこれが続き、コルトレーンによるテーマの演奏となりますが、ここでは気持ちが落ち着いていきます。そしてテナー二本での演奏、そこにバスクラも絡むなどがあり、ベース・ソロとなっていきます。
演奏が10分経ったところでドラムスとピアノが加わり、各自のソロを入れながら、叫び声などのいくつもの仕掛けがあり演奏は進んでいきます。それは混沌の中にいるのか、洗練された現代建築の中の歩いているのか、気持ちが揺れ動く演奏です。
コルトレーンのソロはさすが、ファラオも気合十分、マッコイの迫力は鳥肌もの、などの演奏が続いていき、35分を超えたところでようやく演奏終了となります。
全体を通して私が思ったことですが、この年に行ったアセンションでの経験がこの演奏に生きているなと感じました。もちろん内容は違うのですが、演奏人数は小型化しながらもより先鋭させたここでの演奏は、いつでも向き合える演奏とは言えませんが、自分の気持ちと重なった時には交響曲のような音の重なりを感じさせてくれます。
【エピソード、本セッション、ラジオ放送】
このライブ録音はインパルス!が準備したものではなく、ラジオ局が放送のために録音したものであった。藤本雄三氏による国内盤用解説によれば、ワシントンにある KRAB – FM局による録音放送とある。また資料07には次のような記述がある。
Radio Broadcast, 9:30 – 10:00 p.m. (“Penthouse Jazz: John Coltrane’s Quartet in a direct broadcast from the Pioneer Square nightspot – KING”)
これは新聞のラジオ欄の記述のようである。情報としてはこれだけであり、この放送を録音した人や聴いた人からの情報がなく、生放送だったのか、録音放送だったのか、そしてどの曲を放送したのかは不明である。
再び藤本氏の解説に戻るが、放送終了後に全ての録音テープがアリス・コルトレーンのもとに寄せられ、コルトレーン逝去後の1971年に、2枚組LPとして4曲が収録され発売された。
その後の1994年には2曲が追加され、計6曲 CD2枚組で発売された。
なお2011年には「Untitled Original」「Afro Blue(未発部分)」「Lush Life」「My Favorite Things(一部だけ)」を収録したブートレグが発売された。
【ついでにフォト】
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム