Amen
(John Coltrane)
(7分46秒)
【この曲、この演奏】
本テイクの前に、この演奏を行っていました。このセッションでは5曲を収録し、その中の3曲は挿入用の録音も行い、編集作業でマスター・テイクを作っていました。この日に最後に演奏されたこの曲は、最初に演奏された「Dearly Beloved」同様に編集なしでした。
この「Amen」の最初に演奏されたこのテイクですが、構成はこの後の本テイクと同様です。大きな違いは、3分ほどのトリオでの演奏箇所です。このテイクでは、ピアノ・ソロとの形であり、エルヴィンのドラムスはシンバルでピアノをサポートするのが8割となっています。終盤でドラムスの激しさがでてきますが、この次に演奏された本テイクでは終始ドラムスは激しいものでした。
私にはこのテイクと次の本テイクを比べると、コルトレーンが今のこのバンドに必要なのは、ドラムスによる強力なリズムであることを明確にバンドに示したように感じました。
【エピソード、ジョン・マクラフリンの言葉】
一度以前に「アセンション」を聴いたとき、一種のトランス状態に入り、自分がアフリカまで空を飛んでゆく姿を見たことがあった。そのとき私は、アフリカ大陸全体の精神と、そこで脈動する豊かな生命を感じとった。コルトレーンの音楽とアフリカの音楽を同時に聴くことができたわけだが、地上わずか五〇フィート(約一五メートル)のところを飛んでいるのに、見えるのは密林と大草原だけで人影は一つとして見当たらなかった。私をそこへ運んでくれたのはコルトレーンの音楽だった。コルトレーン自身が私の手を引いて空中を案内してくれたのだ。
ジョン・マクラフリン (資料01より)
【ついでにフォト】
2013年 みなとみらい
(2021年8月14日掲載)