Trane’s Blues
(John Coltrane)
(8分33秒)
【この曲、この演奏】
2回のマラソン・セッションで21曲を吹き込んだのですが、その中で唯一のコルトレーン作の曲です。しかしながら作者は誰なのかに、少しの疑問符があります。
1956年3月1日(或いは2日)のコルトレーン参加のポール・チェンバースのセッション、Jazz Westでのアルバム「チェンバース・ミュージック」のセッションで、「John Paul Jones」という曲が演奏されており、作者はコルトレーンになっています。
しかしながら1956年3月16日のマイルスのプレスティッジへのセッション(コルトレーン不参加)、アルバム「コレクターズ・アイテム」でのセッションでは「Vierd Blues」という曲で演奏されており、作者はマイルスです。
「John Paul Jones」,「Vierd Blues」,そして本作での「Trane’s Blues」は同じ曲です。このことにはいろんな想像が巡りますが、その辺りは適当な時代だった、ということにしておきます。
マイルスの一言、そしてチェンバースのベースのポロポロの後に続いて、演奏に入っていきます。前曲に続いての和気あいあいとした演奏であり、簡潔なブルースでジャム・セッションを楽しんでいます。その中でこのクインテットの距離感が縮まっていくのを感じられます。
マイルスのオープン・トランペットとコルトレーンの方の力を抜いたサックスが、程よく並んでいることを感じる演奏でした。
【エピソード、少年時代】
資料01のブラウアーのインタビューに、少年時代のコルトレーンはあまり本を読まなかったことが述べられている。
「ジョンはあまり読書家ではなかった。手にするのはほとんど漫画本だけであった。ブレア牧師がコルトレーン家の食堂に立派な書棚を設け、素晴らしい蔵書をもっていたことを思えば、それは全く情けないことだった。私ですらも、その書棚にあったデューク大学刊行の 南部の歴史という立派な本を拾い読みしたことを覚えている」
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2019年1月27日掲載)