19590504-03

Countdown
(John Coltrane)
(2分23秒)



【この曲、この演奏】
 コルトレーン作のこの曲の演奏記録は、資料06では3回となっている。最初は本セッションで、正式レコーディングはこれだけです。2回目はアート・テイラーのお母さんの家での演奏で、メンバーは同じです。テイラーの記憶によれば15分ほど演奏したとのことです。この演奏はテイラーの記憶では、この年の4月か5月とのことなので、ひょっとしたらこちらが1回目かもしれません。そして3回目は1960年7月22日のフィラデルフィアのショウボートでのライブで、マッコイ、スティーブ・デイヴィス、そしてラ・ロカというメンバーです。

 さらにコルトレーンは、1958年のサボイでのハーデンのセッションで「Countdown」を演奏していますが、こちらはハーデン作の同名異曲です。

 さてここでの演奏ですが、資料09には次のように記述されています。

 マイルスの「チューン・アップ」のコルトレーン・チェンジ・ヴァージョン。テイラーのカラフルなソロに続いてコルトレーンのアドリブ、そしてテーマが初めて出てエンディングまでの2分21秒は呆気に取られたまま過ぎる。♪=300をゆうに越えるテンポも複雑なコードチェンジも関係なく、これでもかと迫り来るコルトレーン。

 私が感じながら上手く表現できないところを、音楽知識も加えて適切に書かれているので、そのまま引用しました。

 この日の演奏で、特にこの曲の演奏で、コルトレーンはドラムの重要性を痛感したことでしょう。悪い書き方かも知れませんが、3月26日のドラム奏者レックス・ハンフリーズでは、この曲の演奏は形にもならなかったことでしょう。
 テイラーをはじめこのリズム陣だからこその、コルトレーンのスピードとスリル感あふれる演奏になったのです。




【エピソード、このセッション】
 コルトレーンの重要作品である「ジャイアント・ステップス」の「本格」1回目の録音が、本セッションである。コルトレーンとしては3月26日をそれとしたかったのかも知れないが、何しろピアノとドラムがコルトレーンの演奏について来れずに、この時には全てボツとなってしまったのだ。

 そこでメンバーの再考したコルトレーンは、プレスティッジ時代の気心知れた盟友を呼んだのである。ピアノのトミー・フラナガンと、ドラムのアート・テイラーだ。このメンバーでの演奏した「Spiral」と「Countdown」は、名盤「ジャイアント・ステップス」に堂々と鎮座した。

 そしてこの翌日にも同メンバーでレコーディングを行い、本来ならば「ジャイアント・ステップス」の収録は終わったはずだった。

 なおこの日と翌日の録音セッションには、録音日の誤りとか、テープ紛失があり、その意味では今後に新たなものがコルトレーン・ファンに提供されるかも知れない。それを待ち望みたい。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2010年 ペナン

(2020年5月28日掲載)