2024年8月2日掲載

The Cool Voice Of Rita Reys
Philips原盤
1955年録音

 リタ・ライスがオランダのフィリップスに録音した演奏がA面に、アメリカのコロンビアで録音したのがB面に収録されていおり、それぞれが10吋盤で発売されていたのを、フィリップスとコロンビアがそれぞれでLP化したのが、このアルバムです。掲載しているのはフィリップス盤のジャケであり、コロンビア盤ではケースに入ったドラムセットの横にリタが立っているジャケットになっています。

 清楚なリタさんがマイクに向かった横顔が素敵な1958年録音の「The Cool Voice of Rita Reys Vol.2」は有名なところですが、この「The Cool Voice Of Rita Reys」は私はあまり見かけないものです。

A面 フィリップス
1955年1月17日、8月16日、1956年2月16日
オランダのスタジオで、リタの当時の旦那であるウェッセル・イルケン率いるオランダ・メンバーでの演奏が6曲

B面 コロンビア
1956年5月3日、6月25日
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズとの録音で6曲

 「ヨーロッパにおけるジャズのファースト・レディ」(ウィキペディア)とのリタ・ライスの、30歳を過ぎた時点での、スタンダードを真摯に歌う姿が気持ち良い作品です。1960年代の彼女ならではの歌唱を打ち出していくのも好きですが、ここでの「真摯にスタンダード」のリタさんも実に良いものです。

 これはオランダ・サイドでもアメリカン・サイドでも、同様に漂う魅力です。そうなると、やはりバック陣の違いにも聴く耳は興味を持ちます。当時の「オランダ最高のモダン・ジャズ・グループ」での演奏の清々しさも良いですが、やはりジャズ・メッセンジャーズ側の演奏に軍配をあげたくなります。なにしろブレイキーやシルヴァー、そしてドナルド・バードといった一流人による演奏で、リズムの強力さとホーンの重量感は、さすがという気分になります。