2024年7月7日掲載

Miles Davis
Bitches Brew
Columbia原盤
1969年8月録音

 アルバム「In A Silent Way」録音から半年後の1969年8月にマイルスは3日間かけ、さらに翌年1月に1日の録音を行い、この二枚組アルバムを制作しました。1970年3月30日に発売され、大ヒット作となり、高い評価を得ました。それは彼自身の『カインド・オブ・ブルー』と並ぶものです。

参加メンバーは次の7人が核となっています。
ウェイン・ショーター (ts)
ベニー・モウピン (bcl)
ジョン・マクラフリン (el-g)
チック・コリア (el-p)
ジョー・ザヴィヌル (org)
デイヴ・ホランド (b)
ジャック・ディジョネット (d)
これにドン・アライアスやラリー・ヤングなどが加わっています。

 1969年8月19日から21日、1970年1月28日の、4日間での録音です。

 このアルバムへの手垢のついていない表現を書こうとおもいながらも、それは無理なものでした。発売から半世紀が過ぎ、数々の評論がなされ、インターネット文化になってからの四半世紀では音楽ファンからの評が溢れている中で、私が書けることなど、どこかの評の写しになってしまいます。

 フランスのジャズ雑誌「ジャズ・マガジン」の編集長であるフランク・ベルジェロがこのアルバムについて、次のように語っています。

「青い夜に支配されていたアルバム『イン・ア・サイレント・ウェイ』に、高揚(flashes)、情熱(flames)、ギラギラの輝き(blazes) を吹き込んだもの」

私にはこの表現が、この二枚組に対峙する時の自分の思いに近いものです。


 前作からのマイルス指示の下でのテオ・マセロの編集は、この作品では全体に及び、これ以降のマイルス作品の制作スタイルとなっていきました。