2024年6月5日掲載

New Air
Air Show No.1
Black Saint原盤
1986年6月録音

 1975年から活動を始めたエアーは10枚近い作品を残したところで、1983年にドラムスがスティーヴ・マッコールからフェローン・アクラフに替わりました。ヘンリー・スレッドギル、フレッド・ホプキンス、そしてフェローン・アクラフでの3人でニュー・エアーとなり、1983年7月のモントリオール国際ジャズフェスティバルでの演奏が発売されました。

 それから3年後の1986年6月にミラノのスタジオに、この3人とカサンドラ・ウィルソンが集まり、二日間でこのアルバムを収録しました。

 スレッドギルのサックスとホプキンスのベースが重厚に響き、怨念を飲み込み、希望を映し出すような演奏に接すると、まさにエアーです。そしてカサンドラ・ウィルソンの歌が新生エアーに溶け込んでいく様子は、赫々たるものです。

 エアーとして新たな展開を期したようなこの作品であり、アルバム名に「No.1」とあることから、次なる仕掛けでこのシリーズを続けていこうとしていたと想像します。しかしながら、これが「エアー」と名乗っての最後の作品となります。

 それぞれ自分の活動を抱えた3人だけに、共に集まっての演奏活動には、難しさがあったのでしょう。例えばスレッドギルはこの後に、「Very Very Circus」なるグループでの活動をスタートしています。

 新生エアーとしての次の作品がないのは寂しいと感じながらも、この作品を残してくれて有難いとも感じます。