Kenny Burrell
Guitar Forms
Verve原盤
1964年12月録音
1950年代から活躍しているギター奏者のケニー・バレルは、ブルー・ノートやプレスティッジからアルバムを発表していき、1960年代半ばからはヴァーヴから作品を発表していくことになります。今日取り上げるのはそのヴァーヴ第1弾であり、邦題は「ケニー・バレルの全貌」です。私が持っている国内盤CDの封入解説で原田和典氏は、本作品について次のように述べています。
「本作以前の軌跡はいずれもこの9曲のどこかに反映されおり、本作以降に録音されたディスクの数々はすべてこの9曲の何らかのヴァリエーションといっていいほどだ」
5曲がギル・エヴァンス率いるオーケストラとの演奏、3曲がロジャー・ケラウェイらとのクインテットでの演奏、そして1曲はギター・ソロです。
いくつものタイプの曲が並び、それをオーケストラやクインテット、そしてソロでの演奏が進んでいきながらも、どれもが見事なほどに優しい感情の美しさに包まれているアルバムです。熱気溢れるジャズもよいものですし、新たな道と求めていくジャズも魅力あふれるものですが、ここでのバレルの演奏のような世界もジャズの楽しさといえます。
「ただバラエティに富んでいるだけの、ショーケース的な内容にはしたくなかった。大切なのは”深み”なんだ」
国内盤CD封入解説にあるバレルのこの言葉が、この作品の魅力を言い表しています。