2024年6月1日掲載

Eric Dolphy
Muse
Mashmallow原盤
1963年7月録音

 エリック・ドルフィーの演奏が聴ける1963年の活動は、次の通りである。( JAZZDISCO.orgより)

2月4日・27日
ジョン・ヒックス率いる「Orchestra U.S.A.」でのColpixへのレコーディング

3月8日
フレディ・ハバードの impulse! へのレコーディング

3月10日
ドルフィーがイリノイ大学でのコンサート

3月11日
フレディ・ハバードの impulse! へのレコーディング

3月14日
ドルフィーのカーネギー・ホールでのコンサート

4月18日
ドルフィーのカーネギー・ホールでのコンサート

4月23日
テディ・チャールズの United Artists へのレコーディング

5月2日
フレディ・ハバードの impulse! へのレコーディング

7月1・3日
ドルフィーのアラン・ダグラス主催レコーディングへの参加

9月20日
ミンガスの impulse! へのレコーディング

9月
ギル・エヴァンスの Verve へのレコーディング

 この中の、アラン・ダグラス主催の5日間レコーディングでの、ドルフィー率いるグループの演奏は、次のように発売されてきた。(「Muse」封入解説より)
FM 「Conversations」
Vee Jay 「Eric Dolphy Memorial」
Douglas 「Iron Man」

 今日取り上げるアルバムは横浜にあるマシュマロレコードから、2013年に発売されたものだ。CDとLPレコードでの発売で、共に999枚限定での発売であった。(私が所有のCDにあるシリアル・ナンバーは139)

 その内容は、1963年7月1・3日のアラン・ダグラス主催レコーディングでのドルフィーの演奏で、今まで未発表であった演奏である。収録曲は次の通りだ。
Alone Together(別テイク)
Muses(未発表曲)
Iron Man(別テイク)
Love Me(別テイク)
Mandrake(別テイク)

 やはりこのアルバムの目玉は、今まで発売されなかった演奏曲「Muses」の存在となる。なお、共演メンバーは次の通りだ。
Woody Shaw(tp), Bobby Hutcherson(vib), Richard Davis(b), Eddie Khan(b), J. C. Moses(d)

 アラン・ダグラス主催レコーディングで未発表であった「Muses」、ディスコグラフィーを見る限りではここだけの演奏であった「Muses」を、注目して聴くことになります。

 そうすると、この曲でのバスクラのドルフィーがリチャード・デイヴィスとのデュオ演奏ということから、同様の「Alone Together」も注目となってきます。お馴染みスタンダードと、優しさと優雅さを秘めているドルフィー作の「Muses」での、二人の静かな流れの中に魂をぶつけ合っている演奏は圧巻ものです。

 1963年の聴けるドルフィーの活動な中で、ドルフィーが主となったスタジオ・レコーディングは、このセッションだけとなります。その素晴らしさは、以前から幾つかのアルバムでお馴染みでした。しかし真の意味での素晴らしさを体験できたのは、2013年に日本のマシュマロレコードからこのアルバムが発売によってでした。

 この感動には、続きがありました。このアルバム発売から5年後の2018年に、1963年7月1・3日のアラン・ダグラス主催レコーディングの更なる別テイクが発売されたのでした。