Helen Merrill
parole e musica
RCA原盤
1960年録音
ヘレン・メリルのこの作品の原題は「parole e musica(詩と音楽)」ですが、邦題は「ローマのナイト・クラブで」となっています。邦題ですとライブ盤となりますが、スタジオ録音盤です。
国内盤封入の野口久光氏の解説によれば、このアルバムの制作背景は次のとおりです。1960年頃にヘレン・メリルはヨーロッパ各地を巡った後に、イタリアに留って活動していました。その一つにテレビ・スペシャル「モデラート・スイング」への出演がありました。これは、ヘレン・メリルのヴォーカルと有名な舞台俳優フェルナンド・カイアティの朗読を組み合わせたものでした。それが好評であったので、そのままスタジオ録音となり、この作品誕生となったとのことです。
バックはセクステットとクァルテットが半々であり、メンバーは現地の方であります。セクステットでの5曲には、ニニ・ロッソが参加しています。
スローなスタンダードを中心に、ヘレン・メリルの持ち味が満開となって、しっとりと歌声が響く内容です。この素晴らしい歌と演奏の前に入る、イタリア語の朗読が邪魔だというのは、誰もが思うことでしょう。朗読の理由は、英語の歌の内容をイタリア語で伝えよう、とのことです。しかしイタリア人にしても、朗読が邪魔と思うことでしょう。
CD化に際しては、朗読箇所に番号を付けて欲しかったです。そうすれば、CDプレーヤーのプログラム機能で朗読を飛ばせたのに、との気持ちになります。
歌と演奏は良いだけに、そんなことを思いました。