Steve Lacy / Mal Waldron
Communiqué
Soul Note原盤
1994年3月録音
スティーヴ・レイシーとマル・ウォルドロンのデュオ作品は、Wikipedia上では15作品あります。私が渋谷のジャズ盤専門店の新譜コーナーを見ていた記憶では言えば、1980年代後半から1990年代にかけては季節ごとに出ていたような記憶がありますが、これはかなり脚色された30年前の記憶なのでしょう。
アルバム名はフランス語で、「声明、公式発表」との意味で、このアルバムの最後に収録されており、レイシーとマルの共作曲です。他の10曲はレイシーやマルのオリジナル、そしてミンガスやエルモ・ホープ作の曲が演奏されています。そしてレイシーにマルとくればモンク、「Who Knows?」と「Blue Monk」が収録されています。
モンクが1947年のブルー・ノートのレコーディングで演奏しただけの記録しかない「Who Knows?」を取り上げるセンスは、まさに二人ならではのものでしょう。そして二人のとっておはこのモンク曲「Blue Monk」では、メロディを大切にしながら、楽しくうっとりくる演奏となっています。
この作品での二人は、メロディを大切に演奏しています。その意味では、中盤にあるマル作の「No More Tears」と、レイシー作の「Esteem」と続く展開が、聴き所となっています。
即興演奏の炎に突入するレイシーとモンクも魅力ですが、この作品でのメロディを大切にする二人も素敵であり、その意味では二人のデュオ作の中で万人向けな1枚と言えるのでしょう。