2024年1月6日掲載

　イタリアジャズ界で存在感あるピアニストのジョルジオ・ガスリーニが、56歳目前に録音したのが、本作品です。ネットでの情報によれば、ガスリーニは上海でコンサートを行い、そのために組曲を作り、それがこのアルバムのA面に26分の演奏時間で収録されており、その曲名がアルバム名にもなっています。

　「New Quartet」とクレジットされていますので、ガスリーニが新たな展開を考えていたのでしょう。クレジットされているメンバーは次の通りです。

Piero Leveratto(b)
Claudio Allifranchini(as, flute)
Paolo Pellegatti(d)

　ヨーロッパの各国に中華街はあるようで、ガスリーニが生まれ育ったミラノにも中華街があります。パオロ・サルピ通りに中華系の店などが集中しているようです。ただGoogleマップで見る限りは、ヨーロッパらしい街並みの地域です。

　ガスリーニとこの中華街との縁は分かりませんが、やはり初めて中国を訪れて際には、異文化に圧倒されたことでしょう。日本人の私でさえ衝撃があったのですから、ガスリーニには強烈なことだったと思います。

　組曲「中国の空」の始まりは、いかにもの中国音楽の様子です。このままこんな感じが続くにかなとの不安を抱きましたが、すぐにガスリーニの想像力の世界に入ります。彼は中国のいろんな景色に、包容力を感じたのでしょう。いつものガスリーニの切れ味に優しさが覆いかぶさり、そこに中国で感じた世界が投影され、あっという間に聴き終える26分間となっています。

　ジャケットには中国の少年少女4人と映る笑顔のガスリーニがいます。この組曲が伝わってくる写真です。