Barney Wilen
French Story
Alfa原盤
1989年10月録音
1987年の終盤にことだっと思いますが、ジャズ盤専門店の新譜コーナーにIDAからのバルネ・ウィランの新譜「フレンチ・バラッズ」が並んだ時のことを覚えています。飛ぶように売れていました。
1960年の映画『危険な関係』のサントラでの演奏、1959年のRCAからの「バルネ」で知られた存在ではあったバルネですが、1980年代には過去の人になっていたのです。
その彼が一線に復活し、IDAから素晴らしい作品を連発し、どれもが人気作品となっていきました。そうなると、日本のレコード会社も黙ってはおりませんでした。アルファ・レコードが、バルネの作品を制作し発売したのでした。
1989年10月2日と3日の二日間、オランダのハーグとロッテルダムの中間にあるモンステルのスタジオで、マル・ウォルドロンとレコーディングしたのでした。ベースはスタッフォード・ジェイムス、ドラムスはエディ・ムーアが参加しました。
日本人の心を掴まえたバルネのサックスに、日本人の心をとらえ続けているマルのピアノ、アルファの絶対にヒットさせるとの意気込みが伝わってきます。
この52歳のバルネの「フレンチ・ストーリー」はIDAでの諸作品よりも落ち着きがあり、そこがこの作品への評価の分かれ目となるのでしょうけれど、私には惚れ惚れする円熟味と感じました。
この後にアルファに3枚ほど、そしてヴィーナスからも作品を発表し、日本との関係が続いていったバルネですが、1996年5月に亡くなりました。23歳の時の『危険な関係』、50歳での「フレンチ・バラッズ」、亡くなった時は59歳でした。