2023年1月5日掲載

Winner’s Circle
Bethlehem原盤
1957年10月録音

 コルトレーンは1957年にベツレヘムへ2つのセッションに参加しましたが、これはその最初のものです。

 「ダウンビート誌の国際評論家投票にもとづくオール・スター・セッション」である本アルバムは、二つのセッションから構成されています。

Aグループ
Art Farmer(tp)
Rolf Kühn(cl)
Eddie Costa(p,vib)
Kenny Burrell(g)
Oscar Pettiford(b)
Ed Thigpen(d)

Bグループ
Donald Byrd(tp)
Frank Rehak(tb)
Gene Quill(as on A2)
John Coltrane(ts)
Al Cohn(bs)
Eddie Costa(p)
Freddie Green(g on A2)
Oscar Pettiford(b)
Ed Thigpen(d omit on A2)
Philly Joe Jones(d on A2)

 収録内容は次の通りです。
A面
Lazy Afternoon (A)
Not So Sleepy (B)
Seabreeze (A)
Love and the Weather (B)

B面
She Didn’t Say Yes (A)
If I’m Lucky (I’ll Be the One) (B)
At Home with the Blues (A)
Turtle Walk (B)

 なお参加ミュージシャン全員が1位ではありません。ちなみにコルトレーンは、「新人の部 テナーサックス部門」で2位でした。

 コルトレーンが参加しているグループBの4曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。

 コルトレーン入りの大人数でのグループBの4曲も素晴らしいものですが、6人編成のグループAの演奏に心が惹かれます。特にA面1曲目に収録されている「Lazy Afternoon」での、憂鬱な昼下がりのような光景を描く演奏には惚れ惚れとします。ロルフ・キューン、アート・ファーマー、ヴァイブでのエディ・コスタ、そしてケニー・バレルと続くソロの展開は素晴らしいものです。それを超えているのが、テーマでの各メンバーが絶妙なアレンジで重なり合っていく演奏にはうっとりとします。

 この「Lazy Afternoon」という曲は、20世紀ジャズ名曲大辞典によれば、1954年のミュージカル「ザ・ゴールデン・アップル」の挿入歌であり、主演のケイ・バラードの歌がヒットしたとのことです。多くのミュージシャンが取り上げている曲とは言えませんし、私にとっても馴染み深い曲ではありません。しかしここでの演奏と、ウィントン・マルサリスのアルバム「スタンダード」による演奏で、印象深い曲となっています。

 全体を通して本作をみれば、アレンジに力を入れて作り上げており、決して寄せ集めものではなく、聴きごたえある作品になっています。