2022年8月9日掲載

Avishai Cohen
Devotion
Stretch原盤
1998年録音

 「今日の1枚」でベース奏者のアヴィシャイ・コーエンを取り上げるのは、これで10枚目となります。彼のリーダー作としては2枚目となります。
 Jason Linder(p)、Jimmy Greene(ss, ts, fl)、Steve Davis(tb)、Amos Hoffman(g, oud)、そしてJeff Ballard (d, per) などとの演奏です。

 アルバム名の「Devotion」は、(人などへの)深い愛情、献身などの意味です。この名での収録曲はありませんので、この「深い愛情」がアルバム全体のテーマなのでしょう。

 1曲目の「El Capitan & The Ship At Sea」はホレス・シルヴァーへ捧げた曲で、ホフマンのエレクトリック・ギターと2管をうまくアレンジし、気持ちが乗っていく演奏です。
 2曲目はチック・コリアへ捧げた「The FGift」はジェイソン・リンドナーのピアノが印象的なアップ・テンポの演奏で、スティーヴ・デイヴィスやジミー・グリーンのソロも印象的です。
 3曲目の「Bass Suite #3 Part 1」はガリア・ルーズ (Galia Luz) に捧げた曲で、アヴィシャイ・コーエンのベースを全面に出したブルージーな演奏です。この曲を含め、どの曲でもアヴィシャイ・コーエンの力強くスピード感のある演奏が光っています。

 他にも12曲が収録されており、一部の曲ではストリングスやヴォーカルも加わっており、さらにはホフマンのオードの魅力たっぷりの演奏もあり、最初の3曲での素晴らしさが最後まで光っています。ベース奏者とバンド・リーダーとしてのアヴィシャイ・コーエンの存在感は、お見事なものでした。