2022年8月1日掲載

John Coltrane
Live at the Village Vanguard Again
impulse!原盤
1966年5月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

 1966年のコルトレーンのスタジオ活動は3日間ありましたが、特筆すべきものとまでは言えないものです。新生バンドで臨んだ2月2日は4曲を演奏し、その中の3曲はコルトレーン没後に発売されました。そして4月21日と28日のスタジオ録音は、今に至るまで未発表のままです。

 1966年のコルトレーンの新バンドでの活動を我々が知ることができるのは、ライブ盤からとなります。それは三つあります。

 その最初のものは、5月28日にヴィレッジ・ヴァンガードで行われた演奏です。5月20日から22日まで、そして27日から29日までの6日間にわたり、コルトレーン・バンドはヴィレッジ・ヴァンガードに出演していました。その終盤の28日がルディ・ヴァン・ゲルダーによって録音され、そに中から次の2曲が、本作品に収録されました。

Naima
My Favorite Things

 このアルバムはライブ収録から半年先の11月に、AS9124との規格番号で発売されました。

 この2曲については、「今日のコルトレーン」に詳細を書いてあります。エルヴィンとマッコイがコルトレーンのもとを去ってから、半年ほどでの演奏となっています。ピアノはアリス、ドラムスはラシッドひとり、そしてテナーにファラオが加わっての新しいバンド、そしてこの日にはパーカッションが加わってのセクステットでの演奏は、この日に高いレベルに達していたことが伺える内容です。

 私が渋谷のジャズ盤専門店に通い出した1980年台初めから、コルトレーン・ファンがコルトレーンを熱く語る場面に接してきました。あくまで私が接した範囲ですが、その熱き語りとしてこのアルバム「アゲイン」を取り上げていることが多くありました。そしてそれはネット社会になってからも、同様のことです。コルトレーン好きがツバキを飛ばして語りたくなるのが、本作品なのでしょう。

 さて1966年のライブの流れをみていくカギとして、「My Favorite Things」の演奏内容がポイントとなることでしょう。この日は、ベーシ独奏で6分8秒、そしてセクステットで20分19秒の演奏となっています。