2021年11月5日掲載

The Charlie Mingus Jazz Workshop
Pithecanthropus Erectus
Atlantic原盤
1956年1月録音

 ミンガスの直立猿人、名盤であり有名盤です。どの時代においても、ジャズを聴き始めた人は早い時期にこの作品に触れています。そして気にいるかどうかは別にして、ジャズ界におけるミンガスの存在を肌で感じるのです。さらにこの盤を通して、マクリーンとモンテローズに魅せられる人も多いことでしょう。

 自主レーベル「デビュー」で活動していたミンガスですが、その経営は厳しいものであり、バンド・リーダーのミンガスとしてアトランティックと契約した(ウィキペディアより)ミンガスが、最初に制作したのが本作品です。

 ピアノはマル・ウォルドロン、ドラムスはウィリー・ジョーンズでのクインテットでの演奏です。

 ジャズを聴き始めたばかりの学生だった私は、とにかく数多くのジャズ盤を聴きたかったのです。アルバイト代をポケットに渋谷のジャズ盤専門店で私は、エサ箱から使用感たっぷりの本作を引っ張り出しました。ジャジーなブルースの世界にわけがわからないまま放り込まれ、表現の幅の大きさに驚いていました。

 それからもうすぐ40年、今では本作品を聴くのは5年に1回ほど、それも雑音のないCDです。聴くたびに感じ入ることがある作品で、今回は15分ほどの「Love Chant」でのミンガスの構成力にやられました。

 40年近く前の、ジリパチ音と共に聴いていた時期を思い出します。理解するのは難しくても、聴くもの全てに感じるものがあったあの時期が懐かしいです。こんな思いにさせるのも、名盤の力なのでしょう。