2021年8月9日掲載

Marc Johnson’s Bass Desires
Second Sight
ECM原盤
1987年3月録音

 ビル・エヴァンスのレギュラー・バンドの最後のベーシストのマーク・ジョンソンは、1980年代から現在に至るまで引っ張りだこのベース奏者の方です。その彼の最初のリーダー作は1985年にECMに吹き込んだ「Bass Desires」でした。私は聴いたことがないのですが、高い評価を受けた作品とのことです。ビル・フリーゼルとジョン・スコーフィールドという輝きを放っていたギター奏者二人と、これまた輝きのドラム奏者ピーター・アースキンとの変則カルテットでの演奏でした。

 そのユニットの第二作目を取り上げます。メンバーは一作目と同様であります。SNSで今年の初めに紹介を受けた作品です。

 それぞれのギターの電気処理で多彩な音を組み合わせ、またストレートな音を組み合わせて、それをベースとドラムによって支えている演奏内容です。これによっての狙いは、重厚と静寂の重なりを表現したかったのではと、私は感じました。各メンバーの持ち寄り曲が取り上げられ、各曲でそれぞれの味わいを出しており、中にはR&Rをベースにしたものまでありますが、全体としては重厚と静寂の綴織で包まれています。

 笑顔が見える朝の様子で演奏された、マーク・ジョンソンが妹(姉かも)の記憶で作ったという「Hymn For Her」での音の重なり合いに感銘を受けて、この作品を聴き終えました。