Avishai Cohen with Nitai Hershkovits
Duende
Blue Note原盤
2012年2月録音
この「今日の1枚」でベース奏者のアヴィシャイ・コーエンの作品を取り上げるのは、これで8作目となりますが、デュオ作品は初めてとなります。
何度かアヴィシャイが共演しているピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツとの演奏です。演奏しているのは計9曲、アヴィシャイ作のものが6曲、モンクやコルトレーン、そしてコール・ポーター作の曲を取り上げています。
アルバム名の曲はありませんので、「妖精」を意味するスペイン語のアルバム名が、この作品のイメージなのでしょう。
4曲目のアヴィシャイ作の「Soof」では、ニタイが投げかける悲しみ漂う問いかけに、アヴィシャイが慰めを返している展開が素敵でした。続く曲はコー・ポーター作の「All of You」ですが、恋の喜びをベースとピアノの力強くも軽やかな演奏で表現しています。そしてコルトレーン作の「Central Park West」へと続くのですが、物思いにふける夕刻の景色が広がる演奏でした。この3曲の展開は、素晴らしいものでした。
ブックレットにあるアヴィシャイの文章に、「テルアビブの小さなカフェに入ったらニタイが演奏しており、私の人生で数人のミュージシャンからしか聴いたことのないような正気(spark)を彼の魔法のような演奏から感じた」とあります。この言葉が意味するものが本作品のニタイから、そしてアヴィシャイの演奏から感じました。