Ralph Towner / Paolo Fresu
Chiaroscuro
ECM原盤
2008年10月録音
ラルフ・タウナーは1940年生まれのギタリストで、1960年代後半から精力的に活動している方です。ウィーン国立音楽大学でクラシックギターを学んだ方で、1990年初頭以来はイタリアに住んでいるとのことです。本作品でのしよう楽器は、「classical, 12-string and baritone guitars」とクエレジットされています。
パオロ・フレスは1961年にイタリアで生まれたトランペットとフリューゲルホン奏者で、1980年代半ばからプロ活動を始め、リーダー作を含め数多くの作品に参加している方です。2015年にはバークリー音楽大学から名誉音楽博士号を授与されました。(以上の二人の経歴はWikipediaより)
ジャズ界では名を馳せているお二人ですが、私にはあまり縁がなかった方々です。SNSで本作を知り、生弦楽器の響きを味わいたく、またイタリアのジャズ界の人気者トランペッターの演奏に触れたく、本作を購入しました。
2002年にマレーシアのペナンでオーディオを思い切って購入し、もう少しでまる20年となります。14年前からは横浜の部屋で鳴らしています。20年といえば劣化を迎える時期でしょうけれど、私の耳の変化もあってなのか、今でもこのオーディオから流れる音に飽きていません。
ラルフ・タウナーのギターは、弦の振動とボディの共鳴から、豊かな表情となっており、聴く者の心を包み込むものです。タウナー作の「Sacred Place」はギターだけでの演奏で、タウナーの魅力を、そしてギターの魅力を堪能できるものです。パオロ・フレスのトランペットは冷たく澄んだ空気の流れを感じるようであり、聴く者の心に突き刺さるものです。
20年近く前にオーディオを選んだ際には、それなりのお金を使うわけで、それなりに悩みました。コルトレーン・バンドの躍動を、ハード・バップの熱気だけを目的にするなら、違うシステムになっていました。やはりそこに加えて、声の響き、弦楽器の響きをも求めて決めたのでした。それから20年経ちますが、その時の決断は正解だったと、本作を聴いて改めて感じました。
この作品のアルバム名は「明暗」との意味のようです。この作品では「人や世の中の裏と表」を表しているにかなと、感じました。