2020年10月6日掲載

Daniel Zamir
Forth and Back
Jazzhaus原盤
2015年6月録音

 イスラエル出身のサックス奏者のダニエル・ザミールは、2000年に入ると新譜をチェックしているジャズ好きには、お馴染みの存在となっていたようです。私が知ったのは、2015年10月のことでした。それはあまりにも衝撃的な、横濱ジャズプロムナードでのライブでした。すぐにダニエル・ザミールのCDをスマートフォンで注文したものです。

 そのCDはこの「今日の1枚」で、横濱ジャズプロムナードで出会った方々特集をした2018年10月に取り上げました。(2018/10/5)そしてすぐに本CDを購入しましたのでした。

 前回取り上げたザミールの作品は2002年録音でしたが、今日取り上げるのは2015年であり、横濱ジャズプロムナードでの演奏の4ヶ月前の録音です。Daniel Dor(d), Gilad Abro(b), そしてOmi Mor(p)との演奏です。

 横濱ジャズプロムナードのWeb ページでは、「待望の初来日!!これがリアルなイスラエル・ジャズ。伝統的なジューイッシュ音楽、クレズマー、ハシディックなどの東欧音楽にジャズのエッセンスをまぶしたその独特の音世界は唯一無二」とザミールが紹介されていました。

 アルバム名に関して一言。デジパックのCDジャケには、どこにもアルバム名がなく、表ジャケや背中に「DANIEL ZAMIR」と書かれているだけです。これをアルバム名にしているのかと思いましたが、ザミールのWeb ページやディスクユニオンなどの販売店には「Forth and Back」とありました。

 赤レンガ倉庫でのザミールのライブで興奮してから、早くも五年経ちました。会場に詰めかけた方々を、完全にノックアウトした演奏でした。

 本作品はその時期に最も近いのですが、ライブでは「伝統的なジューイッシュ音楽」となるのでしょうけど、イスラエルと言うかあの地域というか、その色がもっと濃かったです。何しろ初来日、そして横濱ジャズプロムナードということを意識しての、ザミール音楽初聴き者への名刺がわりの演奏だったのでしょう。

 ザミールの独特の世界が縦に斬り込むものだったとしたら、本作は前後左右に目を見渡すような余裕感を感じる演奏かなと感じました。とは言ってもザミールの世界、後半での展開はまさにそれでした。

 Thirty Six, Thirty Five B, Seven B, Thirty, Two, Forty Six, Yes Eleven, Four, Fifty Six と、数字の曲名だけが9曲並んでいます。恐らくは年齢なのでしょう。最後の三曲の流れには「伝統的なジューイッシュ音楽」が色濃く、今の私の心を揺さぶるものでした。