2020年6月5日掲載

John Coltrane
The Last Trane
Prestige原盤
1958年1月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

A面
Lover
Slowtrane

B面
By the Numbers
Come Rain or Come Shine

 コルトレーンが急成長する舞台となったプレスティッジ時代、多様なメンバーでの録音を残したプレスティッジ時代のコルトレーンでしたが、アルト・サックスは使ったものの、ソプラノでの演奏はありませんでした。

 何故だかソプラノ・サックスを吹くコルトレーンのジャケの本作品は、プレスティッジが世に出した最後のコルトレーン作品であり、発売は1966年1月のことでした。

 1957年8月16日のトリオでのセッションからラッシュ・ライフに収録されなかった「Trane’s Slow Blues」の別テイクを「Slowtrane」という曲めに変えて、1958年1月10日のバード入りクインテットで演奏した五曲の中でラッシュ・ライフとビリーヴァーに収録しなかった「The Believer」と「Come Rain Or Come Shine」を、そして1958年3月26日のカルテットでの五曲の中でセッティン・ザ・ペイスに収録しきれなかった「By The Numbers」を、本作品に詰め込んでプレスティッジは世に出しました。

 アップテンポとスローなブルースの組み合わせのA面、スローなブルースとミディアムで有名スタンダードのB面、それなりに考えたものです。ただし発売された1966年でも今でも、この作品を買うにはそこそこコルトレーンを聴き込んできた方々でしょう。そうすると、この一曲という華がないのが残念なところ。

 「Come Rain Or Come Shine」が原曲の良さをもっと活かした演奏であれば、そしてアルバム名を「Come Rain Or Come Shine」にしていれば、この作品の存在感がもう少し増したことでしょう。