John Coltrane
Lush Life
Prestige原盤
1957年8月録音
各曲解説「今日のコルトレーン」
プレスティッジのコルトレーン単独名義の人気リーダー作と言えば、LP7105の「Coltrane」、LP7142の「Soultrane」、そしてLP7188の本作となります。しかしながら本作品が他の2作品より少し人気の面で落ちるとしたら、アルバムとしての統一感でしょう。
他の2作品はそれぞれ、一つのセッションから構成されていますが、本作品は三つのセッションからの五曲で構成されています。
1957年5月31日の初リーダー・セッションから一曲、1957年8月16日のトリオでの演奏から三曲、そして1958年1月10日のバードとの共演から一曲という具合です。
しかしながらトリオでの三曲でA面を構成していますので、そこは良い点と言えるでしょう。
ジャケの出来はピカイチの本作を、今日は楽しんでみます。
トリオでの3曲は全てA面に収録されており、有名スタンダード「Like Someone In Love」をスローでしっとりと歌心豊かに、コール・ポーターの「I Love You」ではコルトレーンの高速演奏を堪能し、そしてコルトレーン作とクレジットされている「Trane’s Slow Blues」ではトリオ演奏ならではの粘りっこさを聴かせています。
B面に移っても、ガーランドとバードの熱演も光る「Lush Life」での、すでに完成形とも言えるコルトレーンのバラッド演奏の美しさが輝く演奏です。
ただし、願わくばトリオでの演奏で1枚のアルバムをと欲張ってしまうのですが、ここがこの作品への感想の分かれ目なのでしょう。
最後に余談ですが、ジャズ聴き始めの時に国内盤LPで本作を楽しんでいた際に、「Lush Life」」でのヘイズのブラシ「焼きそば」の再生に随分と苦労しました。カートリッジを取っ替え引っ替えし、やはりMCの高級品を買わなければとも悩んだりしていた記憶があります。今回は2006年にビクターから発売された紙ジャケCDで本作を聴いたのですが、そんな「焼きそば」再生悩みは消え去っていました。これを良い方向に考えたいのですが、ブラシの絶妙な力加減が感じられないなと、また新たな「焼きそば」再生悩みとなりました。