2019年5月5日掲載

Miles Davis
The Modern Jazz Giants
Prestige原盤
1954年12月録音

コルトレーン参加曲

A面
The Man I Love (Take 2)
Swing Spring

B面
‘Round About Midnight
Bemsha Swing
The Man I Love” (Take 1)

 マイルスの本作品は、寄せ集め盤、或いは10吋盤収録曲のLP化とも言える内容です。しかしその寄せ集め元が凄いです。5曲中4曲は、1954年12月24日のセッションからのもです。モンク、ミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、そしてケニー・クラークが参加した有名セッションです。「The Man I Love」を2テイク、「Swing Spring」、そして「Bemsha Swing」の5曲が、本作に収録されています。
 そしてもう1曲収録されており、それはマラソン・セッション後半での収録された「Round About Midnight」です。これは5分強の演奏時間ですが、「ing四部作」のどこかに押し込むことは可能だったはず。やはりCBSでのマイルス1作目の成功を考えて、この演奏を世に出すタイミングをボブ・ワインストックは考えていたのでしょうか。

 MJQから3人呼ぶならば、ジョン・ルイスも一緒にMJQバックでの演奏に何故しなかったのでしょうか。この時期はMJQとして勢いのある時期ですし、ジョン・ルイスを外す理由が分かりません。しかしそこは深く考えずに、モンクを加えてのセッションを楽しみましょう。

 このセッションで光った「Bags’ Groove」は2テイク共に、同曲タイトルのアルバムへの収録となっています。本作で光るのは、何と言ってもジャズマン大好きのバラッド「The Man I Love」であり、本作冒頭に収録されているテイク2であります。

 マイルスはミュートとオープンを使い分け、そして何よりもミルト・ジャクソンの上品な響のヴァイブが、演奏の方向性を決めています。モンクに関しては、お休みモードも楽しめるのが、モンクの存在感なのでしょう。「寝ているモンクもいいじゃねーか」、普通ならばスタジオでも寄席でも出入り禁止になるところが、名人になるとそれが許されるのでしょう。なお「喧嘩セッション」云々は、後になってつけられた話というのが、今の定説のようです。

 パーシー・ヒースの正確なベースに感じ入りながら、聴けば楽しめる1枚だと再認識しました。