3 Cohens
Braid
Anzic原盤
2006年9月録音
イスラエル出身ジャズマンの作品について、今年の5月からSNSの知人に50枚強紹介いただき、私は6月から8月にそれらを中心に40枚強を購入しました。「今日の1枚」で徐々に取り上げていきます。
イスラエル出身ジャズ奏者の主要な中に、コーエン三兄妹がおります。男性が1973年生まれのYuval Cohen(ss)と1978年生まれのAvishai Cohen(tp)、女性がAnat Cohen(ts,cl)であります。女性のアナットについてWikipediaでは、生年月日は伏されておりました。ネットでは1979年生まれと書いてあるページもありましたが、別の作品のジャケで見る限りはアヴィシャイより年上のようです。
内ジャケに三人のことが少し書いてありますので、紹介します。
テルアビブ生まれのこの兄妹は、ご両親の支えにより、音楽への情熱を持って育ちました。幼少期には三人は同じ芸術学校で音楽を学び、家でも一緒に練習していました。その過程で三人はそれぞれの高い音楽的素養を感じていきました。
三人は最終的にジャズを勉強していくことを決め、順繰りにNYに移り住みバークリー音楽学院に入学しました。やがて三人は変化に富むアンサンブルを通して、それぞれの音楽の理想を求めるようになったのです。
三人それぞれがミュージシャンとしてバンドリーダーとして評判になった2003年に、3 Cohensとしてレコーディングすることで、三人が一つになる長年の夢を実現させたのです。
スリー・コーエンズとして二作目となる本作品は、アーロン・ゴールドバーグ(p)、オマー・アヴィタル(b)、そしてエリック・ハーランド(d)との演奏になっています。
「伝統的なジューイッシュ音楽、クレズマー、ハシディックなどの東欧音楽」がイスラエル出身ジャズマンの特徴として、表現への入れ具合はミュージシャンによって異なってきます。昭和歌謡で例えるならば、ダニエル・ザミールが「ど演歌」表現ならば、この 3 Cohens は「ムード歌謡」といったところでしょう。いろんなパターンの曲にひっそりと先の特徴を忍ばせる、そんな演奏でした。
ユヴァルが三曲、アナットが二曲、そしてアヴィシャイが四曲を、本作に提供しています。クレジットされてませんが、それぞれのアレンジは提供者が行ったことでしょう。見事なのは、それぞれの曲で提供者が目立つ演出なぞせずに、三人の特徴を曲にピッタリと合わせたアレンジを行っていることです。幼少期から音楽を共にしてきた彼らならではのことですし、曲作りの段階からそこを頭に入れていたと思います。
三人の曲作りにも良く、今やジャズ界の大物となっているリズム陣にも感心し、楽しめる作品に仕上がっています。