2024年7月10日掲載

Miles Davis
We Want MILES
Columbia原盤
1981年6月録音

 1981年6月にマイルスは6年ぶりにファンの前で演奏を披露しました。このお休み期間の理由には諸説ありですが、自伝では「トランペットを放っておいて女性とコカインに焦点を当てた長い休止の後、1980年にスタジオに戻った」とありますが、その真意は分かりません。ここでお休み直前のマイルスの、聴くことが出来る活動を振り返りましょう。( JAZZDISCO.orgから)

1975年
2月1日 大阪城ホール(アガルタとパンゲア、1975年発売)
2月27日 コロンビア・スタジオ(ブートレグ発売)
6月11日 ボストンでのライブ(1995年発売)
1976年
3月30日 コロンビア・スタジオ(ブートレグ発売)


 そして1980年5月から翌年1月にかけてマイルスは、数回に渡りスタジオに入りアルバム「The Man With The Horn」向けの録音を行なっています。

 この後にいよいよファンの前での演奏となりました。この2枚組アルバムには、次のコンサートでの演奏が収録されています。

1981年
6月27日
ボストン、キックス・クラブ

7月5日
NYC、エイヴリー・フィッシャー・ホール

10月4日
新宿西口広場

いずれも参加メンバーは次の通りです。
ビル・エヴァンス (ss, ts, fl, el-p)
マイク・スターン (el-g)
マーカス・ミラー (el-b)
アル・フォスター (d)
ミノ・シネル (per)

 お休み前の音を追い求める姿から、この1981年には幅を広げて、ゆとりと笑顔も音楽に加わったマイルスが楽しめます。1枚目の最初と最後には西口広場での「Jean Pierre」が収録されており、まさにそんなマイルスを味わえます。また2枚目のキックスでのスタンダード「My Man’s Gone Now」では、各メンバーの反応の妙に酔える演奏です。

 西口広場でのコンサート直後には否定的な見解を述べる方々もいましたが、そんな方々もこのライブ盤が1982年4月に発売されると褒めるようになっていったのが、記憶に残っています。

 個人ごとですが、私の1981年の活動場所は、西口広場まで歩いても行ける所でした。ただしそれはジャズを聴き始める前年のことで、マイルスの名声は知っているものの金欠ロック青年には縁のないコンサートでした。一年違っていれば、そんな思いを40年経っても持っております。