Miles Davis
A Tribute To Jack Johnson
Columbia原盤
1970年4月録音
まずはジャック・ジョンソンについて、ウィキペディアから引用します。
ジャック・ジョンソン(Jack Johnson、1878年3月31日 – 1946年6月10日)は、アメリカ合衆国のプロボクサー。テキサス州ガルベストン出身。元ボクシング世界ヘビー級王者。
奴隷の子供として生まれ、黒人隔離の州法ジム・クロウ法の最盛期に、黒人として初の世界ヘビー級王者(1908年-1915年)となり、非常に大きな論争の的となった。
リングの内外で白人に対して挑発的な言動を取り続けたボクサーで、ジョンソンのドキュメンタリー映画を制作した映画監督のケン・バーンズは、「13年以上にわたり、ジャック・ジョンソンは地球上で最も有名であると同時に、最も悪名高い黒人であった」と評した。歴史上最も影響力のあったボクサーの一人で、ボクシングの枠を超えて、アメリカの人種差別の文化と歴史の象徴的人物の一人とされている。
このジャック・ジョンソンのドキュメンタリー映画が、1970年に制作されました。その際にこの映画の音楽がマイルス側に依頼され、このアルバムとなりました。その制作にあたっては、マイルスのいくつかのセッションを、プロデューサーのテオ・マセロが中心となって編集したのでした。
主セッション
1970年4月7日
スティーヴ・グロスマン (ss)
ジョン・マクラフリン (el-g)
ハービー・ハンコック (el-p)
マイケル・ヘンダーソン (el-b)
ビリー・コブハム (d)
これにオーケストラ
補助セッション
1970年2月18日
ベニー・モウピン (bcl)
ジョン・マクラフリン (g)
ソニー・シャーロック (g)
チック・コリア (el-p)
デイヴ・ホランド (b)
ジャック・ディジョネット (d)
マイケル・ヘンダーソンとビリー・コブハムの重量級リズムに、鮮やかなステップのジョン・マクラフリンのギターが強くのしかかり、そこにマイルスがパンチの熱気でリードしていく、そんな表現になる「Right Off」です。
一方「Yesternow」では、熱戦の後の心境、祭りの後の寂しさを表現したかの演奏となっています。
「お望みとあらば、世界最高のロック・バンドをつくってやろうか」、マイルスがインタヴューで言ったとされているこのお言葉、このアルバムに相応しいものと多くの人たちが感じたとのことです。そしてこのアルバムが1990年代に国内盤CDで発売された時には、帯の宣伝文句でこれが使われたとのことです。
私は音楽配信サービスに加入した直後に、このアルバムのコンプリートものを聴きました。いくつものテイク、インサートで用いたもの、などなどあわせて6時間超えのものでした。ながら聴きもありましたが、あの6時間から感じた熱気は、凄まじかったです。