2024年7月4日掲載

Miles Davis
Nefertiti
Columbia原盤
1967年6月録音

ネフェルティティとは(ウィキペディアから)
ネフェルティティ(英:Nefertiti、紀元前14世紀中頃)は、エジプト新王国時代の第18王朝のファラオ、アクエンアテンの正妃。ツタンカーメンより見て義母に当たる。 ネフェルティティは、ベルリン博物館所蔵のその謎多き胸像で著名である。

 こんな情報を頭に入れながらジャケットを見れば、ジャケットに映るマイルスのお顔が、「謎多き胸像」の姿に重なるのが不思議なものです。ただそれ言えば、本作の前のアルバム「ソーサーラー」の方だろうとなりますね。

 「マイルスの生涯において最後のアコースティック楽器のみで演奏されたアルバム」としてジャズファンに有名なこのアルバム、ショーターにハンコック、カーターにウィリアムスでの演奏となります。

 ショーター、ハンコック、ウィリアムスの手による6曲のメロディには美しさがありますが、演奏となると妖しさのものとなります。マイルスは「マイルス・アンド・ヒズ・バンド」ではなく、グループしてのサウンドを追い求めてきて、このアルバムで、アコースティックとしては頂点となったのかとも思います。そんな意味はショーター作のタイトル曲に顕著ですが、ここでウィキペディアにあるエピソードを紹介します。

 表題曲「ネフェルティティ」はフロント奏者であるマイルス、ウェインが全くソロを取らず、同じメロディを繰り返す曲として知られる曲であるが、この曲のレコーディング時の1発目の演奏が非常に素晴らしいものであったのにもかかわらず、プロデューサーであるテオ・マセロが録音をしておらず、結局アルバムに収録されたのは意図的に1発目の演奏の再現を試みたものであった。これを反省したマイルスは、これ以後のレコーディングからレコーディング時のセッションを全て録音する様になり、それが後の「セッション音源をテオが編集し完成させる」というスタイルに繋がっていく。

 この時期にビートルズは、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発表し、その名声でさらに高めていました。ジミヘンはモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演し、ギター燃やしの演出もあって、脚光を浴び始めた時期でした。

 そしてマイルスは一つの流れを終え、新たな流れを作り出す時期に来ていました。この作品は、そんな真っ只中のもでであります。