Dexter Gordon
Dexter Calling
Blue Note原盤
1961年5月録音
1950年代のデクスター・ゴードンといえば、数枚のアルバムを残したものの、そのほとんどを麻薬更生施設で過ごしました。そんな不遇なゴードンの音楽生活も、1960年代に入ると一変しました。注目を浴びたのが1960年の麻薬劇「ザ・コネクション」への出演とは皮肉なことですが、1961年にはブルーノートとの契約になりました。
1961年5月6日には「ドゥーイン・オールライト」(4077)を吹き込み、三日後の5月9日にはこの「デクスター・コーリング」(4083)を録音しました。
ケニー・ドリュー、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズとのこのアルバム、宣伝文句はズバリ「豪放を極めるワン・ホーンの快作!」であります。
多くのジャズファンと同様に、私もこのアルバムはジャズ聴き始めのときに繰り返し聴いたものです。その時にはLPレコードでのA面の方の、デクスターの極太テナーに酔っていたと思います。年月が流れ久しぶりに聴いてみると、スタンダード曲「情事の終わり」で始まるB面に心が動きます。ミディアム・テンポでスインギーにこれを演奏し、ドリュー作の「クリアー・ザ・デックス」で盛り上がり、デクスターが麻薬劇「ザ・コネクション」に書いた「アーニーズ・チューン」のバラッドで心ときめき、最後はチャップリン作の「スマイル」で背伸びをしてスッキリするものです。
4000番台に突入したブルーノートで、気持ちを新たにして進み出したデクスターには、この後に素晴らしい音楽人生が待っているのでした。